アヴェスターにはこう書いている?
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岡田智彦、高橋忠久 『タイルの美Ⅱ 【イスラーム編】』

 モザイク・タイルには二種類あり、一つは方形や多角形そして三角形のさまざまな色調の、同じ大きさの施釉タイルを組み合わせて文様を表現するものである。このモザイクは、ローマ時代に各種の小石を組み合わせて文様を表現したモザイク画と基本的には同じ技法である。それに対してもう一つのモザイク・タイルは、さまざまな色調の施釉タイルを文様に合う形に打ち掻き、それらを組み合わせて文様を表現する。この技法によるモザイク・タイルは、ペルシア語でモアラッグ(Moarragh)という。このモザイク・タイルの製作法をここでみてみよう。
 (1)まず紙にデザインを描き、それを方形のタイルに張る。(2)そしてその紙のデザインにしたがって、両側が刃になったティシェ(Tisheh)と呼ばれる金槌状の道具で外形を打ち掻いてゆく。(3)内側の部分は、メガル(Meghar)と呼ばれる丸のみ状の道具でくり抜いてゆく。これで枠組みの部分が完成する。(4)次に内側のくり抜かれた部分の形を紙に移し、番号を付け、その紙を方形の施釉タイルに張り付ける。(5)それをティシェなどの道具を使い、打ち掻き形を整える。(6)この部品を最初につくった枠組みにはめ込んで、裏側を漆喰で固めて固定する。これでモザイク・タイル装飾の一部分が完成する。これらのパートを幾つも組み合わせて、壁全体を覆うモザイク・タイル装飾ができあがる。10センチ四方のモザイク・タイルを製作するには、一人の職人が一日八時間働いて二日かかるという。(p.50)


(私が好む)モアッラグのモザイク・タイルがいかに手の込んだものかがわかる。このようなタイルで壁面を覆った建造物を建てるには、多くの職人を集めなければならず、そのためには強大な権力と経済力が必要となることがわかる。



 産業の促進は、窯業の発展にもつながり、ラスター彩陶器やクバチと呼ばれる色絵陶器、そして中国磁器を模倣した陶器などがつくられた。イスファハーン、ヤズド、マシュハド、そしてケルマーンなどの都市が主要な窯場であったといわれている。特に中国磁器の模倣品は、当時インド洋交易において絶大な勢力を誇っていた、オランダ東インド会社のイランでの買い付け品目に入っていた。これは従来オランダ東インド会社が中国から調達していた染付磁器が、17世紀前半の中国の明朝末期の政情不安に伴い、十分に入手できなくなったことによる。中国磁器の不足を補うために、オランダ東インド会社が目を付けたのが日本の有田とイランであった。しかし、磁器を製作できなかったイランは、有田磁器に破れる結果となる。この貿易戦争は、反面イランが当時世界でも有数の製陶地であったことを示している。(p.59-60)


イランではシャー・アッバース1世の治世。明朝末期に中国の磁器が不足したため有田焼がヨーロッパに輸出されたということは日本ではよく知られているが、イランの陶器がそれと競合する関係にあったとは知らなかった。非常に興味深い。



 中近東において、モザイク・タイルが発展する直前の11-12世紀には、ビザンティン帝国の皇帝などの保護、奨励を受け、高度に発展し完成させた技術を駆使した色彩豊かな「モザイク」装飾作品が、キリスト教世界を中心に数多く制作されていた。だが、ビザンティン帝国に隣接するイスラーム諸国では、いわゆる「モザイク」を使用した表面装飾はまれであった。
 当時の「モザイク」装飾を施した建造物としては、エルサレムの「岩のドーム」(7世紀)、ダマスカスの大モスク(8世紀)、10世紀に建てられたスペインのコルドバのモスクをあげることができるが、いずれもビザンティンのモザイク師の手により完成された作例であり、独自の発展に基づくものではなかった。その代わり、イスラーム世界には「モザイク・タイル」が登場した。(p.123)


モザイク・タイルを発明するにあたって、ビザンティンのモザイクがモチーフになったのだろうか?非常に興味深い。

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