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アヴェスターにはこう書いている?
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稲垣佳世子、波多野誼余夫 『無気力の心理学 やりがいの条件』(その3)

 現在の学校教育では、生徒の成績に対して教師が優劣の評価を下すことがつきものになっている。しかし、すでに第四章でみたように、このやり方は、子どもが主体的に学習に取り組む姿勢を妨げるよい評価を得ることに重きをおくため、むずかしいものに挑戦して熟達していく楽しさのほうを放棄してしまうのである。
 第四章で何回も名前の出てきた社会心理学者のディシは、評価には二つの側面があることを指摘している。ひとつは、人を統制するという側面である。そしてもうひとつが、そこでとった行動が良かったか、悪かったかの情報を与えるという面である。教師による評価が、効力感を妨げるのは、ひとつには、前者の側面が強くなりすぎるからである。評価に際しては、もっと後者の側面を重視した形が工夫されるべきだろう。自分の活動のどこが良く、どこが悪いのか、どこをどう改善すればよいのかがわかるようにすることは、情報的側面の強い評価といえる。(p.115)



この本の初版は1981年に出ている。(私が読んでいるのは4版で1982年のもの。)だから、この引用文で「現在の学校教育」と言っているものは、主に1970年代の学校教育のことであって、2007年の教育ではないわけだが、「教師が生徒を評価するのがつきもの」という状況は変わっていないと思われる。

評価は常に行うのでは有害であって人を無気力にする。評価を行う場合にもできるだけ「情報としての側面」を強調したやり方で行うことが望ましい、ということがここでは言われている。

現在行われようとしている安倍内閣の「教育改革」は、これに照らしてみるとどう評価できるだろうか?

安倍晋三は、「全国的な学力テスト」を行い、その結果を公表することにかなりのこだわっている。それによって学校への予算配分にも差をつけようと目論んでいる。また、「教員免許更新制度」を導入して「ダメ教師には辞めていただく」のだそうだ。

これらは教師-生徒間の関係ではなく、政府-学校・教師間の関係ばかりであるが、こうしたやり方で学校や教師が扱われる場合、それが生徒との関係にも波及するのは間違いない。

まず、テストで結果を出すための教育が行われることは想像に難くない。それは常に評価にさらされることに繋がり、しかも、政府は学校・教師に対して強制的で強権的なやり方で評価を下していくのだから、教師たちには心のゆとりがなくなってくる。とにかく目先のテストでの「結果を出させる」ことに力が注がれることになる。そうした短期的な視点ばかりが強調される文脈では、生徒への評価をする際に、「評価の統制的な側面」が強くなりがちになるだろう。

これは生徒たちのやる気を削ぐことになるのである。実際、これらは脅迫によって競争をあおる政策であり、競争がやる気を阻害することについては、前回のエントリーで述べたとおりである。




これに対して、じっくり取り組める時間的・心理的余裕があると、課題についても、また自分自身についても、新しい面を発見することが容易になるだろう。(p.119)



こうした余裕は自分も持ちたいと思うが、最近はなんだか慌しい。私自身も、もう少し何とかしたいところである。続きを書こうと思ったが、疲れたので寝ることにする。
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「競争原理」は万能なのか? (不定期連載『決まり文句を疑う』)

人間が成長する上での「競争」、教育の場での「競争」についてつらつら考えていたところに、尊敬するるか親方が「学ぶ意欲低い子どもたちが問題なのか。」というエントリーを書いてくれたので、それにのっかって私も一言言 村野瀬玲奈の秘書課広報室【2007/03/21 07:21】