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アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
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稲垣佳世子、波多野誼余夫 『無気力の心理学 やりがいの条件』(その1)

 ディシは、大学生を対象にして、金銭による報酬の「効果」をしらべている。・・・(中略)・・・。実験の第一日目には、各被験者がどのくらい熱心にこのパズル解きを行うかが調べられた。次いで二日目には、実験群と統制群とでちがった扱いをした。すなわち、実験群の大学生では、パズルが正しく解けるたびに、一ドルの報酬が支払われた。他方、統制群では、解けても何の報酬も与えられなかった。そして実験の三日目は、再び第一日目と同じやり方にもどった。すなわち、実験群、統制群とも、パズルが正しく解けても何の報酬も与えられなかった。
 毎回、実験者は実験の途中で、もっともらしい口実をつくって、数分間中座した。そのあいだは、被験者は何をしていてもよかった。・・・(中略)・・・。この「自由時間」に被験者がどんな行動をとるか――つまり、ソマパズルをやりつづけることがどのくらいみられるかを両群でくらべたのである。
 結果は、興味深いものだった。実験群では、解けると報酬のもらえる二日目では、パズルをいじりつづけることが多かった。しかし、解けても無報酬の三日目になると、とたんに興味を失うのである。この興味の低下は、同じように解けても無報酬だった一日目の反応とくらべてみると歴然としていた。他方、一日目から三日目まで、一貫して何の報酬も与えられなかった統制群では、そうした興味の低下はみられなかった。
 ディシは、同じようなやり方で次々と実験した。そして、金銭の報酬が、被験者のもともともっている興味を低下させてしまうことを確かめたまた、実験室のなかだけでなく、日常場面でもこうした結果が生ずるのを確かめている。(p.54-55)



この心理学実験は、労働の問題を考えるにも示唆を与えてくれる。成果が上がれば報酬も上がるというやり方で仕事をさせようとすると、却って、仕事を自分から進んでやりたいと思わなくなることが予想される。本書によると、こうして「外から与えられた報酬による動機づけ」自律性の感覚を損ない、人を無気力にする方向に働くという。

むしろ、そうした外からの余計な刺激がない方が、内発的な動機づけが妨げられないため、高いモチベーションが維持するのに好都合であると言える。

このように心理学の動機づけの理論から見ると、成果主義や能力主義などと呼ばれる賃金体系は、誤った(「生産性」を向上させるという目的にそぐわない)やり方であることがわかる。

さらに注目すべきことには、外的評価の予告は、自分の能力を伸ばそう、より難しいものに挑戦してみようとする自己向上的な意欲さえも弱めてしまうことが、ハーターの実験で報告されている。(p.58)



こうなってくると、なおさら成果主義の弊害ははっきりするだろう。成果主義とは、外的評価を行うことを予告する賃金体系ないし雇用システムだからである。成果主義の導入や徹底は、新たなものへの挑戦や難しい問題への対処を妨げることになり、その結果、組織を停滞させることになるだろう。
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