アヴェスターにはこう書いている?
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長友薫輝、正木満之、神田敏史 『長友先生、国保って何ですか』(その2)

泉市当局が、市議会に限度額の引き上げを提案してきました。私は議員としての判断を迫られることになりました。議案を見た当初、「保険料負担の上限を引き上げることは、高額所得者により多く負担してもらうのだから、その分、低所得者にとっては負担が減るのではないか…」と私は思っていました。
 しかし、その見方は間違っていました。限度額が上がるということは、低所得者の保険料も上がるのです。
 他の被用者保険の保険料は、月収を基礎にした「標準報酬月額」をもとに保険料が決まります。しかし、国保の保険料は、「応益割」と「応能割」によって計算されます。応益割とは、それぞれの加入者に一定額の負担が課せられます。応能割とは、所得や資産などそれぞれの加入者の負担能力に応じた負担が課せられます。国保料は、応益割と応能割の比率が50:50に設定されています。そのため、限度額を1万円引き上げると考えると、応益割で5000円分、応能割で5000円分引き上げることになります。要するに限度額を引き上げると、その負担は加入者全員に及ぶのです。(p.72-73)


なるほど。私も賦課限度額が上がるということは、低所得者の負担は減ると単純に考えていたが、そこまで単純にはいかないということに気づかされた。

ただ、私は本書のこの主張には全面的に賛同は出来ない。なぜならば、保険料として賦課すべき総額は医療費として必要となる金額によって決まるはずであり、賦課限度額を上げるということは、同じ所得・資産に対して掛ける所得割や資産割の料率が下がる効果もあるはずであり、同じく、均等割や平等割の料率も下がる効果があるはずだからである。



ただ、行政の予算・決算のデータは、その年だけを見ても「数字データが持っている意味」は発見できません。10年分、20年分の数字データを並べてみて、グラフや表をつくってこそ数値がもっている意味が見えてくるものです。(p.79-80)


行政の予算・決算に限らず、数字のデータの意味を見いだそうとする場合一般に言えるように思われる。



 高度成長期に、医療給付費の増大にともない保険料負担が増え続けるなか、多くの自治体では応能負担(所得割)の割合を増やすことで低所得層の負担を抑えてきました。しかし、歴代政権の「圧力」により、応能負担を減らし、応益負担を増やしてきました。こうして低所得者の負担が増える仕組みに変化してきました。(p.97)


これは新自由主義的な発想をする者が好む方向へのシフトである。そして、これは日本の社会保障は再分配機能が弱いが、そうした傾向とも合致するものである。



 最初の結論を言います。過酷な保険料の主な原因は、100頁の【図表-12】からはっきりわかります。国からの国庫支出金が削減されるごとに、保険料は高額になってきたのです。主な原因は、国庫支出金の削減でした。
 では、どうすれば高すぎる保険料水準が改善できるのでしょうか。この問題を考えるとき、いつも感じていることがあります。それは、「敵は本能寺にあり」であるということです。敵というと物騒ですが、「たたかう相手を間違えてはいけない」と考えています。私は、主に仙台市で国保運動に取り組んでいます。運動の中では、国保加入者の方々と語り合う機会も多くあります。しかし、市町村への怒りをむき出しにされる方が意外に多いのです。
 確かに、国保を運営する市町村の責任は重たいと思います。……(中略)……。しかし、国保についての学習と話し合いを通じて、たたかう相手は「国」であることを明確にすることが重要と考えています。少し時代がかっていて恐縮ですが、「敵は本能寺にあり!」なのです。
 国民健康保険法の主旨を実現するには、まず第一に国の責務です。……(中略)……。国の権限や圧力が大きいうえに、国保制度も自治体の裁量が少ないのです。(p.102-103)


妥当な指摘。中央政府によるナショナルミニマム保障の義務を実現させる方向に進めることがあらゆる社会保障制度の改革にとって重要な意味をもつ。



厚生労働省が公表した資料では、保険料額を都道府県平均とした場合、現行よりも保険料が引き上がる市町村は多いようです。(p.118)


国保の広域化(都道府県を運営主体とする)の問題に関して、今まで疑問に思ってきたことがある。それは保険料が全体としては高くなるとされる指摘があることである。この理由は漠然と新聞等で見ているだけではわからなかったが、何冊か国保関係の本を読んでいるうちに見えてきたのは、現行での市町村が運営していると、市町村の一般会計から国保に税金が補てんされており、それによって料金が抑えられている部分があるが、広域化後はそうした補てんをしないようになりそうだから料金は上がる、ということのようである。

国庫負担金が減ることで保険料が高くなってきた歴史があり、それを多少なりとも緩和する方法として市町村レベルで財政的補てんを行ってきたが、その補てんすらなくなるということが、現在進められようとしている政策であるらしい。



 健康保険法では、株式会社や有限会社などの法人事業所個人事業所でも5人以上常時従事する事業所の事業主は、週30時間以上(常勤職員の4分の3以上の勤務時間)働く労働者を、「職域」の公的医療保険である協会健保や健保組合に加入させなくてはいけないとされています。こうした事業所を「強制適用事業所」と呼んでいます。
 強制適用事業所以外の事業所でも任意適用事業所として事業主と雇用される労働者が合意した場合は適用事業所となり、協会けんぽ等に加入することができます。(p.131)


単なる制度の説明だが、分かりやすいのでメモしておく。



 厚生労働省が2009年行った調査でも全市町村の6割が減免制度を設けている(規則や要綱を作成している)としていますが、そのうち9割が実際には実施していないとしています。(p.144)


医療費の一部負担金の減免制度について。制度自体があまり知られていないことが要因の一つだと思われるが、一時的な要因で支払いができない場合を除いては生活保護の対象になることが多いということもありそうに思われる。

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