アヴェスターにはこう書いている?
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藤森照信 『日本の近代建築(下)――大正・昭和篇――』(その2)

 明治以来外国から入ってきた建築材料のうち鉄筋コンクリートくらい人をとまどわせたものはない。……(中略)……。辰野金吾は、一般建築で初めて鉄筋コンクリートを用いた台北電話交換室(M42)を見た時、設計者の森山松之助に、「君、こんな薄い壁で大丈夫かね、割れやしないかね」とたずね、その後、一時、東京駅も鉄筋コンクリートを使うことを検討したが、サビへの不安から結局、採用は止めている。(p.130)


面白いエピソード。

なお、台湾は日本でも鉄筋コンクリートが早期に普及した地でもある。



 関東大震災という実物大実験によって、鉄筋コンクリートの揺れにも火にも強い性格が証明され、以後、日本のビルの構造技術は、アメリカの鉄骨造の影響を脱し、鉄筋コンクリート鉄筋コンクリート造か鉄骨鉄筋コンクリート造に限られるようになる。(p.131)


関東大震災は日本の建築を一変させるインパクトがあったが、鉄骨造からの脱却と鉄筋コンクリート造の普及というのも、その一つだろう。



 19世紀末にはじまるモダンデザインは、産業革命によって切り開かれた近代という時代を強く意識し、進んだ技術、大量生産といった生産の問題に着目し、そして結局、機能主義、合理主義に行きつく。しかし、問題は生産だけではない。進んだ技術による大量生産は、当然のように大量消費をひき起こし消費の場を発展させる。始点には生産の空間としての工場があり、終点には消費の空間としてのストリートが広がる。
 にもかかわらず、モダンデザインは、工場の空間ばかり念頭に置いて理論と形を展開してきた。今和次郎が考現学を起こしバラック装飾社を始めた1920年代初頭は、世界のモダンデザインの流れの先端が、ようやく工場空間と通底する合理的で機能的な形に届いたばかりの時期にほかならない。消費の空間の問題など、世界の建築家の誰も意識していなかった。早すぎたのである。(p.192)


なるほど。アールデコの工業製品を用いた装飾にしても、鉄筋コンクリート造の構造やそれによる箱型の構造にしても、いずれもいわゆる産業革命とその後の工業化が背景にある。

その先の消費社会に着目しているのは、消費社会論が流行った80年代のすぐ後(1993年)に書かれていることも影響していると思われる。ただ、デパートの建築やそこに繋がるような商業建築では消費意欲を喚起するような建物自体が広告としての役割を果たすような形で消費社会に関わっていたものもあり、消費という世界をモダンデザインが全く無視していたわけではないように思われる。



 レーモンドをコルビュジエとくらべる時、打ち放しが重要なポイントとなる。モダニズムの建築家は抽象化傾向の強い人と実在感を求める人の二つに分けることができるが、その時のリトマス試験紙として打ち放しが役に立つ。(p.231)


なるほど。コンクリート打ち放しを好む人は実在感を強く求めるタイプであり、そうでなければ抽象化傾向が強い可能性が高い、というわけだ。

モダンデザインより歴史主義、歴史主義より本物の歴史的建築を私は好んで見る傾向があるので、あまり意識したことがなかったが、参考になりそうな見方ではある。試してみたい。



 しかし、これを最後に、本格的な建築は不可能になった。昭和12年、日中戦争の深まりとともに建築用資材の統制が始まり、鉄材が使えなくなり、木造しか許されなくなる。(p.233)


戦時中の建築について詳しく書いている一般書はあるのだろうか?戦時中と戦争に向かっていく最中を主題として扱っているようなものがあるなら、少し読んでみたい。


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【2013/11/22 21:51】 | # [ 編集]


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