アヴェスターにはこう書いている?
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安藤英治 聞き手、亀嶋庸一 編、今野元 訳 『回想のマックス・ウェーバー――同時代人の証言――』

ベーラウ夫人 革命は三十年と持たないという法則があると、以前はいつも言ったものでした。私の学校時代にもそう言っていたのを覚えています。ロシア人の場合は、それがまったく通用しないのです。

安藤 中国でも、もう十五年以上になりますね。

ベーラウ そのとおり。不気味ですね。中国人はみなうまくやっているのでしょうか?みんな赤い頬をして元気そうだと聞いていますが。飲み食いにも困らない。貧しい者はいない。そうなると、革命はどうも成功したとしか思えません。

安藤 そうですね。おそらくロシア革命とは全く異なるものなのかもしれません。

ベーラウ夫人 全く別物ね。

安藤 ひょっとするとロシア政府よりもずっと民主的なのかもしれません

ベーラウ 奇妙なことです。(p.29-30)


本書は安藤英治が『ウェーバー紀行』に著された1969年前後のドイツでの調査旅行(?)の際に、ウェーバーの同時代人たちに行ったインタビューを録音したテープを文字に起こしたものを中心とする史料である。『ウェーバー紀行』と併せて読むと非常に興味深く読める。

ここはウェーバーとは直接の関係はあまりない箇所だが、ロシア革命と中国における中華人民共和国の成立に関しての会話である。

当時西側の知識人たちの認識が示されており興味深い。安藤の左派知識人としての共産主義ないしマルクス主義への共感に基づく予断も一つの注目すべき要素だが、中国では50年代末に大躍進政策により数千万人の餓死者を出しており、この会話が行われていた当時は文化大革命の真っ最中であったことにも注目すべきである。いかに情報が隠されており、それによる幻想・虚像が蔓延っていたかがわかる。

そして、そうした現実は現代の社会においてもなくなったわけではない、という自戒を付け加えておきたい。(これは中国やロシアに関してのみ言っているわけではなく、日本の社会の内部でも当てはまるものがある、ということである。一応念のため。)



シュティッヒヴェー はい。この演習では、政治的対立について、正義と不正とについての議論をしていました。演習は終りまでいかなかったのです。彼は6月17日にはすでに亡くなりましたので。(p.55)


1920年のウェーバーの最後の演習について、その演習に参加した学生からの証言。ウェーバーはミュンヘン・レーテ革命を取り上げてこうした議論をしていたというが、正義と不正とについての議論に関連して、若しこの演習がもっと続いていれば、ウェーバーの「責任倫理と心情倫理」という問題などももっと掘り下げて論じられることになったかも知れない、などと思う。



シュティッヒヴェー ……(中略)……。思い出すのは、演習の第一日目に彼が机の上にシュナップスを置いて、「諸君、仕事は学のあるもののシュナップスである!(Meine Herren, Arbeit ist der Schnaps der Gebildenten!)」という洒落た文句で演習を開始したことです。

安藤 ?

シュティッヒヴェー シュナップスはアルコールですよね。コニャック、ウィスキー、それがシュナップスです。そこで、「仕事は学のあるもののシュナップスである」、つまり気分転換をしたい時には、シュナップスを飲みますよね?分かります?

安藤 ?

シュティッヒヴェー 「学のあるもの」とは知識人のことですよね。シュナップスなど飲まなくても、知識人は仕事によって気分転換ができるのだというわけですよ。(p.58-59)


確かにウェーバーらしいエピソードという感じがする。



筆者のみるところミッツマンは、ウェーバーを近代批判の先駆者として称揚する新たな「ウェーバー聖化」に先鞭をつけた功労者の一人である。(p.240)


今野元による解説より引用。

なるほど。言われてみれば、近代的な合理化によってウェーバーが病に冒され、それを相対化して回復していくという類のストーリーがこれ以後語られることになったように思われる。


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