アヴェスターにはこう書いている?
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開一夫 『赤ちゃんの不思議』

しかし、無力な赤ちゃん像の視点に立つと、往々にして、親は「真っ白な」キャンバスに沢山のことを描き込もうとしがちです(あるいは親の思った通りに何でも描き込めると思いがちです)。……(中略)……。赤ちゃんは、何か描かれるのをただじっと待っているキャンバスではなく、もっと能動的でダイナミックな対象として捉えられるべきです。(p.32-33)


「無力な赤ちゃん」像に対して「有能な赤ちゃん」像への転換が、本書の最もおもしろい点の一つであると思う。



 非常に高価な乳幼児向け英語教材は、こうした「生きるか死ぬか」という観点からいうと、赤ちゃんにとっては、どちらでもよい、つまり、「学ぶに値しないもの」と判断されてしかるべきでしょう。(p.43)


人は必要を感じている時によく学習できる(必要を感じないものは習得効率が悪い)という原則は赤ちゃんにも同様に当てはまりそうだ。



 人間の赤ちゃんには味覚に対する好みがあります。生まれてすぐの赤ちゃんは、「甘い」味を好むと言われています。「苦み」は有害な物質と関係がありそうで赤ちゃんは嫌うのではと想像できますが、意外なことに、最近の研究では生後しばらく(四ヵ月頃まで)は、(薄い)苦みであっても回避しないことが分かっています。その後、しばらくすると、赤ちゃんは新規な食物を回避するようになると言われています。一般的にはちょうど離乳食が与えられる頃なので、「なぜ、うちの子は離乳食を食べないのだろう」と心配する母親もいるかもしれません。しかし、繰り返し辛抱強く与えることによって、最初は嫌がっていた食べ物でも問題なく食べるようになります。まさに「経験する(経験させられる)」ことによって食べられるものとそうでないものを区別できるようになることを示す例です。(p.46)


好き嫌いが多い子供というのは「経験のさせ方」、すなわち、育て方の問題が反映していると考えられる。



 人間の場合は、基本的に親が食べているものを自然と食べるようになります。生後三カ月頃の赤ちゃんは、周りの大人が食べているものに注目するようになります。
 お国が違えば、食べるものも大きく異なります。日本では、お寿司や刺身など生で魚を食べる習慣があります。最近では世界中どこに旅行しても(美味しいかどうかは別として)お寿司を食べることができますが、ほんの少し前まではこれほどポピュラーではありませんでした。子どもが、どんな食べ物を好きになるのかは、どんな食文化(食環境)で育つのかということを抜きにしては考えられません。食文化は、まさに「環境とその影響」という問が難問であることを示す上で、非常に良い例となっています。(p.48-49)


食文化(食環境)は単に「お国」の違いという大きな単位ではなく、家庭という小さな単位にも存在するということは銘記すべきだろう。



 アメリカ小児科学会は1999年に「二歳以下の子どもたちにテレビ映像を見せることは推奨できない」との提言をしています。日本小児科学会も、2004年に同様の提言を発表しました。(p.70)


テレビは基本的には子どもの発達に悪い影響を与える可能性が高いということがこれらの学会では共通認識となったということか。



その結果、2~3歳における幼児向け教育番組の視聴がテストの好成績につながることが示されました。一方で、教育番組ではない一般番組を頻繁に見る子どもはそうでない子どもよりもテストの成績が劣ることも明らかにされました。(p.71)
この傾向は乳幼児期だけでなく、学童期になっても同様であると思われる。この引用文では語彙発達についてのテストについてのものだが、『見えざる階層的不平等』という本でもテレビ視聴時間が長い小中学生は成績が低いというデータがあったことからも、単に語彙のみでなく様々な形でテレビは子どもの学習に悪影響を与えるのだろう。



親との相互作用の時間、DVDやビデオの視聴時間・種類、CDIと呼ばれる語彙発達の尺度を調べ、赤ちゃん向けのDVDやビデオ(例えば、0~3歳児向けの知育商品「ベイビー・アインシュタイン」等)の視聴は語彙の発達にネガティブな影響を与えることが示されています。(p.71)


小さな子どもの親はこのことも記憶にとどめておくべきだろう。



 最近の研究では、DVDを一方的に流すのではなく、赤ちゃんが「見たい(聴きたい)ときに」DVDを視聴させると、相手が人間の時と同じように音声学習がうまくいくという報告もあります。(p.81)


興味を感じているものはよく学習されるということか。ただ、この研究の場合のDVDはタッチパネルのような簡単なスイッチで赤ちゃんにも選択を行えるようにバリアフリー化されていたらしく、一般家庭の環境とは異なる。一般家庭では赤ちゃんが自由にDVDのオン・オフ切り替えは難しいだろうから、やはりあまり見せないほうが無難だろう。



 小さな子どもがボタン好きなのは、行為とその結果の(因果)関係を獲得する訓練のためであると言えます。最近の育児雑誌では、「過干渉(親が子どもの先回りをして何でもやってしまうこと)はよくない育て方である」とあります。これはあながちウソではないのかもしれません。もちろん時と場合によっては、十分な支援をしてあげることも必要です。安全な環境を整備しつつ、赤ちゃんの「いたずら遊び」を見守ることが重要だと考えます。(p.104-105)


同感である。



 昨今の脳科学ブームの影響からか、世の中には右脳・左脳にまつわる多数の「脳科学神話」が溢れています。右脳は感性や感情を司り、左脳は言語や論理的思考を司るという話は今までのところ科学的根拠のない「神話」です。重要な点は、右脳(左脳)だけが感情的処理(言語的処理)にかかわっているのではなく、個々の脳機能に関して「相対的」に優位な(相対的に活動が大きい)半球があるということです。(p.162)


分かりやすいものに飛びつく風潮が現代日本社会の傾向として強いので、この指摘事項にも注意すべきだろう。


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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

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