アヴェスターにはこう書いている?
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芹田健太郎 『日本の領土』

 ところで、日清戦争における日本の勝利と朝鮮・満州への進出は、ロシアの極東進出計画にとって脅威となり、清の退いた朝鮮において日露の対立が激化した。(p.34)


日清戦争に勝利したことによって、日露戦争へとつながる緊張が高まったと理解できる。軍事力によって自国の「安全」を保障しようとすると結局は緊張を高め、危険を招来することになりがちだということを示す良い例である。



 1905年9月5日のポーツマス条約によって日本は韓国における日本の特権をロシアに承認させ、満州から両国軍隊の撤退とロシアによる満州の主権の尊重を約束させたほか、旅順口・大連の租借権の日本への譲渡、長春・旅順口間の鉄道及び付属地等の日本への譲渡、さらに、ロシアの領土である樺太の北緯50度以南の地の日本への割譲を受けた。しかし、ロシアに代わって満州に特殊権益を得たことにより、この後、日本は米国の唱える領土保全・門戸開放・機会均等との間に軋轢を生みながら、大陸進出へと突き進むことになる。(p.35-36)


今度は日露戦争の結果が中国への進出とアメリカとの緊張関係を深めることになったことが読み取れる。



 紛争の解決の進め方については、係争中の島を現に占有しているのがどちら側であるかによって異なり、尖閣諸島の場合には占有しているのは日本であり、最終的解決に至るまでの間、日本は、要するに占有をそのまま維持すればよく、ことさら占有を強化する必要はない。(p.161)


本書は2002年に出た本に加筆修正して2010年に出版されたものである。2012年に日本政府が尖閣諸島を国有化したことは本書の指摘から見ると不要なことをしてしまったことになる。



 竹島編入の1905年は、韓国人にとって、自国が日本に保護国化された年であり、5年後の1910年には併合されるに至る前段の年である。竹島編入と植民地支配は無関係だと主張する日本の主張は法的には正しくとも、植民地支配を受けた歴史を持つ韓国人が「自分の国の土地で最初に取られたのが竹島だ」と関連付ける現在の認識を、それは間違いである、といくら説得しても良い関係は生まれない。自ら突き詰める以外にはない。そもそも加害者と被害者の意識の懸隔は埋められない。埋める努力をするほかはない。
 1965年の日韓条約では日本はいかなる謝罪もしていない。いまだに韓国民衆のなかに、かつての日本の朝鮮統治に対する償いを求める声がくすぶっている。竹島が韓国人にとって日本の植民地支配の始まりのシンボルであるならば、新しい竹島を成熟した日韓の協力関係のシンボルに転換させなければならない。(p.312-313)


竹島について韓国側の認識としては過去の植民地統治と結びつけられているということが分かったのは収穫であった。

領土問題がマスメディアなどで語られるとき、自国の主張でさえ特に根拠が示されることがなく、自国の領土であるとだけ主張され、係争相手の国の主張についても詳しく紹介されることがない。私としてはこの状況には大いに不満がある。自国政府の公式な主張を知ることも主権者としては必要であるが、係争相手の主張とその根拠や論理のほか、さらには人びとの認識、その認識によって喚起されている感情などを知ることが重要である。そうした包括的な認識に基づいてはじめて問題の適切な解決策を考えることができると思われる。

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