FC2ブログ
アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

マルク・ブロック 『封建社会2』
マルク・ブロックの『封建社会』の第二巻から、「アルプス以北の世界」と「地中海世界」の対比に関連する箇所を2箇所ほど抜粋しておく。

 言うまでもなく自分たちの住居を攻撃から護ろうとする富んだ人々の配慮は、動乱そのものと同じほど古く遡るものであった。かの城塞化されたヴィラ(villae)がその証拠であるが、これは四世紀頃、ガリアの農村に現れたものでローマの平和の衰頽を裏付けている。この伝統が、フランク王国の時代にあちこちで存続していることもあった。しかし、富んだ土地所有者の居住する≪館≫(cour)や、国王の宮殿までも、長い間恒久的な防禦施設を施されることはほとんどなかった。アドリア海から、北イングランドの平原に至るまで、修復されたり再建されたりした都市の堡塁と共に、農村の≪砦≫を建設させるようになったのはノルマン人ないしハンガリー人の侵入のためであり、それ以来ヨーロッパの農村部にこの砦の姿がたえず重くのしかかることになる。やがて内戦のためにそれらがさらに数を増していった。・・・(中略)・・・これらの館は基本的な諸要請に応えたものであり、それが自ずと感知され、かつ満たされたというわけである。・・・(中略)・・・要するに城は己れを護り他を支配するためのものであった。
 これらの建造物は、一般に形式はきわめて簡単であった。少なくとも地中海諸地方以外では長い間最も広く普及していたのは、木造の塔であった。・・・(中略)・・・最初に、石材を利用したのは大諸侯たちであった。・・・(中略)・・・石材は、十二世紀、いや、十三世紀になってからさえ、徐々に中小騎士の住居に採用されるようになったにすぎなかった。大規模な森林開拓の始まる前には、採石場よりも森林の開発の方が楽で費用も安いように思われたのである。それに石工の仕事は、専門の労働力を必要としたが、いつでも強制労働を課すことのできた保有農は、ほとんど全部が樵夫と同時に大工の仕事をも少しは心得ていたのである。(p.21-22、イタリック体は著者、強調は引用者)


これらの南北の世界で建築の素材が異なっていたことがわかる。地中海世界は昔から長い間石造建築が多く造られていたのに対し、以上の記述によれば北方(アルプス以北の世界)では経済力がある程度向上し、一つの頂点をなしていた13世紀頃になってようやく高価な石造建築が普及し始めたということになる。もちろん、ブロックが言うような開発による森林の後退という要素もあっただろうが、地域の経済状態と支配層の権力の拡大が建築の素材の転換の大きな要素だったのではなかろうか。

次の引用に移る。以下はカペー朝がカロリング朝の伝統を引き継いでうまく統治を引き継いだということに関する部分からのものである。

要するに予め定められた一族に神秘的な特権が結びついているとする考え方はローマ世界にはほとんど知られておらず、ゲルマニアを通じて、遠い原始の時代から西ヨーロッパに伝えられたものであるが、それがきわめて力強い持続性をもっていたので、偶然にも男系子孫に恵まれ、かつ王家を守り立てる多数の誠実誓約者に助けられるや、旧い〔血統の〕正統性の廃墟の上にきわめて速やかに、新鮮な正統性がいち早く再建されてゆくのが見られることになる。(p.105、強調は引用者)


フランク王国の大部分は、「地中海世界」ではなく北西ヨーロッパという「アルプス以北の世界」に属しており、ローマ帝国は言うまでもなく「地中海世界」の帝国であったことを考慮すると――ここで「ローマ的なもの」と「ゲルマン的なもの」という対比を用いるとすれば――王権(王)についての観念においては、アルプス以北では「ローマ的なもの」よりも「ゲルマン的なもの」が強く継承されていたと読める。

ちなみに、このような王を神聖視する観念は「形式的に見れば」フランス革命の時代まで続いていたと言えるようである。例えば、1791年憲法でも「国王の身体は不可侵で神聖である」と規定されていた。(松浦義弘(1997)『フランス革命の社会史』p.42)
スポンサーサイト

テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://zarathustra.blog55.fc2.com/tb.php/8-df244a44
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)