アヴェスターにはこう書いている?
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プラトン 『法律(下)』

 では、「正」と「不正」ということで、わたしが何を言おうとしているかを、複雑な言い方をしないで、いまあなたにはっきり定義することにしましょう。激情(怒り)や恐怖、快楽や苦痛、嫉妬や欲望が魂のなかで独裁的に支配している状態、――それが実際に何らかの損害をもたらそうと、もたらすまいと――、すべてそのような状態を一般的に、わたしは「不正」と呼んでいるのです。
 これに反して、最善は何かと考える分別、――国家あるいは誰か個人がその最善はどのようにしたら実現されると考えるにせよ――、そのような分別が魂のなかで勝利を占めて、その人の全体を秩序づけているなら、よしときに何らかの過ちを犯すことがあるとしても、そのようにしてなされる行為のすべてと、そのような分別の支配に服している各人の状態が、「正しい」のであり、そしてこれこそが、人間の生涯全体を通じて最も善きことなのだと言わなければなりません。(p.189)


個人の生き方として、私もプラトンのこの見解に大いに共感する。ただ、ある意味ではこれは非常に厳しい見方であり、この見方を持って人を評価していくと、「正しい」人は非常に少ないことになってしまう。社会生活を円滑に営むにはもう少し寛容な「正しい生き方」の観念もあわせて持ち合わせたほうが良いように思う。



しかしながら、どんな場合においても、何かを成し遂げたとか、手に入れたとか、確立したとかいうことで、ものごとはすべて終りになるのではありません。むしろ、わたしたちの生み出したものに、それがいつまでも完全な形で保全されるような方策を見つけ出してやったとき、そのときに初めて、なされるべきことはすべてなされたのだとわたしたちは考えるべきなのです。(p.438)


仕事などの際に参考にすべき考え方と思われる。

私自身が成し遂げたと思ったことを、後任者にそれをぶち壊されたという苦い経験がかつてあったが、そのような誤った方向性を予め遮断しておくことができていれば、その時に本当に完成したとするべきだった。



もし誰かが、政治家なら当然目を向けてしかるべき目標について無知であることがあきらかだとすれば、そのような者は、まず第一に、国を治める支配者と呼ばれて正しいでしょうか。つぎにはまた、そのものの目標をまったく知りもしないところのものを、安全に保つことができるでしょうか。(p.444)


サンデルの共通善の政治学に私は最近関心を持っているのだが、こうした関心を持っていわゆる近代以前の政治理論を読むと、以前には見過ごしていた問題がよく見えてきて面白い。(現在、トマス・アクィナスの政治論文なども読んでいるが、それもまた然り。)

ここでは「目標」を掲げているあたりが、現代リベラリズムに欠けている目的論的思考に通じるところがあり、興味をひかれる。現在の政治的混迷には様々な要素が要因としてあるが、「どのような社会を目指すのか」というビジョンが一国の社会の中で共有されていないことに一つの要因があると思われる。その際の道徳的牽引力を持つような理念が必要とされているというのが、現時点での私の見るところである。

その意味では、プラトンが言うような「目標」をはっきりと提示できる政治家たちを現代のわれわれは必要としていると思われる。

橋下氏が大阪市長に当選してしまったのも、彼は社会としては本来目指すべき目標とは異なるものを掲げていると私は考えるが、一見それらしい目標を掲げつつ、同時に道徳的な攻撃対象を作ることで、自らの主張や立場自体に人びとの感情にアピールすることに成功しているといったことが、背景にあると思う。もちろん、さらに深い社会的背景や構造の問題もあり、彼はそうした流れの中にうまく乗ることができた、というにすぎないのだが。

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