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アヴェスターにはこう書いている?
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生活保護問題対策全国会議 監修、尾藤廣喜、小久保哲郎、吉永純 『生活保護「改革」 ここが焦点だ!』

エ 生活保護費の市最終負担は約150億円
 改革案は、2010年度で生活保護費2863億円が一般会計の17%を占めることを強調していますが、市負担はその4分の1である715億円程度に過ぎません。さらに、この715億円についても、国からの地方交付税交付金によってまかなわれますから、大阪市の最終的な負担は、約150億円程度にとどまります(大阪市ホームページ)。

 このように、生活保護費は市民生活を直接守ると同時に、市の持ち出しの数倍の経済効果が期待できる、費用対効果の大きな経済政策なのです。(p.36)


本書では最近の生活保護「改革」の議論の目的は財政支出削減のための扶助費削減にあることを強調し、それを批判していく。

財政危機を理由に扶助費削減を主張する政府側に対し、本書は自治体財政の負担は小さいことや支出されたものは地域経済にとって公共事業と同じような効果を持つ点を強調する。いずれも正しい指摘である。

ただ、財政ということに関しては、自治体ではなく中央政府の財政については不問に付している節があるところには本書の論にも一面的でしかない部分がある。自治体の首長らはまず自治体財政を守るという動機から扶助費削減を意図するだろうが、中央政府としては地方交付税による補填部分なども削減したいという動機があってもおかしくない。本書による批判ではそれに対しては触れられていない。(主たる批判対象が指定都市市長会などが出した案だからというのもあるだろうが。)

経済政策としての側面についても、限界消費性向が高い貧困層に金が回ることによって、地域で消費される金が増えるという効果があるのは確かだろう。しかし、市の持ち出し分だけを考慮して経済効果を考えるならば効率的な政策であると言えたとしても、実際には市の持ち出し分の19倍ほどの税金がつぎ込まれていることを考えると、どの程度効率的であると言えるか疑問が残る。より効果的な政策がありうる場合、経済政策としては別の政策を採る方が良いということになってしまう。この意味で、本書の批判の妥当性はかなり限定的だと言わざるを得ない。



 医療機関に対する指導、監査の強化、医療扶助支給額の本人通知も必要です。第三者行為による損害賠償請求権の規定新設(改正法63条追加)も賛成です。(p.42)


医療扶助支給額の本人通知は医療機関による過度の診療に対する牽制になるだけでなく、受給者側にとってもどれほどの費用が掛かっているのか認識することで無駄な受信を抑制する効果があるだろう。

また、現行の実施状況では医療費がどの程度支給されているのかほとんど受給者は知らない状態であり、それが税金からまかなわれていることを自覚する機会もないため、利用中の制度に対する理解を深める意味でも有効であろう。



 また、毎月発行している「おたより」には、できるだけ利用者の手記やインタビューを取り上げて掲載しています。同じ境遇の人々の姿を知ることは、ケースワーカーが何回も同じ説明をするよりも、はるかに説得力があります。「支援を始めたら途切れず続ける」ということも大切です。そのためには相手を責めないことが必要で、たとえ仕事を辞めてしまっても、「なんで辞めたの?」と怒るのではなく、辞めた原因を明らかにして、もう一回仕切り直して始めます。「責めずに次のステップに」ということです。(p.71)


受給者を責めるだけでは問題の解決につながらない。その意味で、客観的に原因を明らかにして仕切りなおすというのは重要である。但し、実施機関と受給者の間の信頼関係がなければ、このような理想的な対応も適切な結果に結びつくとは限らないという点には注意が必要であると思われる。



 当所では、毎月1回半日間で自立支援検討会を開き、支援対象者全員の課題を検討し、議論しています。支援者も問題を一人で抱え込むのではなく、いろいろな知恵を出しあい、自分だけでしんどい思いをするのではなくて、助けてもらい、ノウハウを継承できるような、そういう場が福祉事務所には大切だと思います。(p.72)


ケースワーカーの専門性確保のためにも、こうした検討会は有用であると思われる。



 フルタイムの就労をはじめた利用者は、日中、担当ケースワーカーと面接することが難しくなります。そこで、利用者から、就労状況や生活状況、子どもの修学状況などを「就労状況等報告書」という書面で、定期的に報告していただいています。(p.77)


この手法はフルタイム就労中のひとり親世帯等に対する家庭訪問による生活状況調査の労力を軽減するという意味からも有効かもしれない。


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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

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