何度叱られても改まらないというのも、ADHDの子にはよくみられる特徴だ。(P.30)
病気や障害などを持つ人と接する際には、こうした知識を持つことは有用である。
自信の回復には、「人」がいちばんの薬なんだ。 もし君たちがひきこもりそうになっても、このことだけは覚えておいてほしい。人間関係がなくなると「生きる意味」すらもみえなくなる。逆にいえば、どんな形でも人とつながってさえいれば、ひきこもりはこじれずにすむってこと。だから「誰にも頼らない強さ」なんかよりも、「時には人に甘えられる強さ」のほうを大切にしてほしい。(p.66)
自信の回復には「人」がいちばんの薬というのには納得。自信というのは、自分を信じようといくら思ったとしても、そのような意志の力で何とかなるものではない。だから、自信を失った人に対して助言するとき、私は大抵、目を外に向けさせるようにしてきた。本書の叙述から、それをさらに一歩進めて、周囲の人の側からその人に関わっていくことによって、その人の自信が回復するというプロセスがはっきりと見えてきたと思う。もちろん、問題を抱えた人から他人に関わっていくことができれば、それがベストだが、自信を喪失した人にとっては、そうしたことがなかなかできない状態でもあるだろう。だから、周囲の人がそこに関わっていくことによってエンパワメントしていくことが重要となってくるのではないか。
でも、対人恐怖の人は、意外に初対面は平気だったりする。いちばん苦手なのは、「半知り」、つまり半分知ってる人、名前ぐらいは知ってるけれどもあんまり親しくない人、こういう人たちね。 ……(中略)……。対人恐怖の人は、こういうあいまいな関係がいちばん苦手。なぜかっていうと、半知りの関係というのは、要するに向こうは自分のことを知ってはいる、だけど自分のことをどう思っているかはよくわからない。この曖昧さが苦手なんだね。(p.69)
私も一般の人よりは対人恐怖がある人とも接する機会が割とある方だが、なかなか参考になる。逆に云えば、対人恐怖の人を受容しているということを早めに伝え、それに成功すれば、これらの人とも関係を築きやすいということだろう。
実は対人恐怖の人って、他人にはそんなに関心がない人が多いんだよね。……(中略)……。その人が自分をどう見ているかについてはものすごく過敏だし考え過ぎなくらい考えるんだけど、そっちに気を取られすぎて、実は相手のことをよく見てないんだよね。そういう意味では、けっこう自己中心的な人といってもいいかもしれない。(p.71)
対人恐怖の人に限らず、周囲の目・評価を気にする人には、こうした自己中心的な傾向が強く見られると思う。私個人としてはこういうタイプの人はあまり高く評価しない。他人がどう評価しようが、自分の信念を貫くといったタイプの人の方が魅力を感じることが多い。
自分の醜さや臭いで他人に迷惑をかけていると思いこむから「加害妄想」なんだ。 ……(中略)……。 ずっとそういう訴えをしている人にとっては、もう「他人から嫌われている」って考えること自体が、自分の「存在理由」みたいになっちゃってるんだよね。逆にいうと、その悩みを否定されてしまうと、「お前は存在価値ない」といわれたみたいに傷ついたりもする。(p.72-73)
病的な心理状態の人を扱う際の難しさは、こうしたところにあるように思われる。正面から説得しても通用しないどころか逆効果になってしまう。病的とまではいかなくても、こうしたことはまれに生じるが、私としてはあまり得意としない関係かもしれない。
フラッシュバックというのは記憶の蘇りとしてもつらいんだけれども、それだけじゃない。いろんな自律神経系の反応をひきおこしてしまって、極端な場合はその場で動けなくなってしまったりするようなこともある。(p.142-143)
これに近い事例を見たことがあるが、やはりその人はトラウマを抱えていると思われる。今後の参考になる叙述。
つまり、自分がマイナス感情に支配されているときは相手がそういう感情を持っているというふうに思いこみやすいということ。これは生活の知恵として、みんなも知っておいたほうがいいんじゃないかな。 相手がすごく自分に怒ってるなと思うときは、ひょっとしたら自分が相手に怒ってるんじゃないかと疑ってみると、早く冷静になれるかもしれない。あんまり相手の怒りをベタに受けとりすぎると喧嘩になっちゃったりしてよくないから、理不尽な怒りを自分に向けてる人がいるなと思ったときは、ひょっとしたら、本当は自分がその人を嫌いなだけなんじゃないかということを考えたほうが、頭を冷やす上では役に立つ。(p.162)
正直、あまりピンとこないが、何となく気になるところがあるのでメモしておくことにする。
「うつ病っていうのは、動けなくなる病気なんですよ」。(p.172)
気分の問題と捉えられがちなうつ病について、一般の誤解を解くために敢えて身体的な問題の方に焦点化して表現している。私は、鬱の人とも比較的よく接する機会があるが、参考にしてみたい。
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