アヴェスターにはこう書いている?
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菊池理夫 『日本を甦らせる政治思想 現代コミュニタリアニズム入門』

 これに対しても、リベラルやリバタリアンは特定のコミュニティや特定の国家の価値を子供に押しつけるものであると批判するかもしれません。しかし、政治に対する価値中立性と同様に、教育に対する価値中立性も、結局は官僚主義あるいは市場主義のように、エリートや富裕層にとっての有利な価値を教える結果にしかなりません
 これに比べて、むしろ「共通善」を明示して教えることは、逆に現在の「共通善」に対する問題点も考え、高学年になって疑問視する考えも育っていくと思います。(p.119)


現代コミュニタリアニズムからのリベラルやリバタリアンへの批判の一つ。リベラルやリバタリアンが擁護しようとする価値中立性は、現実にはエリート主義的で保守的な機能を果たす点を指摘している。

これに対し、現代コミュニタリアニズムでは共通善を明示して教えることで、教育内容に対する自覚的な反省が促される点を指摘している。

ウェーバーの価値自由の考え方に影響を受けたことがある私としては、筆者が言う現代コミュニタリアンの主張の方が、筆者が言うリベラルやリバタリアンの価値中立性よりもウェーバーの価値自由に近いということにやや驚きを感じたところである。



つまり、読解力の低下とは、「社会とつながり」を失った若者が増えていることを意味しています。(p.122)


なるほど。書き言葉によるコミュニケ―ションと話す言葉によるコミュニケーションとは違いはあるにせよ、興味深い指摘ではある。



 しかし、現在でもこのような伝統的な「村落共同体」のコミュニティ活動や、都市においても、それを受け継ぐものといわれる「町内会・自治会」は、もっぱら個人の自由や権利を侵害し、他者を受け入れない閉鎖的なものであるとする社会科学者が多いようです。
 ……(中略)……。ただ、否定的な側面だけを指摘していくかぎり、リベラルや近代主義者が理想とする欧米のような市民社会は日本に成立しないと、いつまでたっても、日本社会への批判を繰り返すしかありません。
 そのような批判には、民衆の作り出した組織への「知識人」としてのかなりの偏見が含まれているのではないでしょうか。また、彼らが理想とする「市民」というものも、むしろ「都会の市民」という差別的なものではないのでしょうか。(p.135)


近代化論などが描き出してきて「日本社会」批判のパターンに対する批判として的を射ている。欧米にあるはずのものが日本にはないと批判するだけでは、いつまでたってもワンパターンな批判にしかならず、将来への展望は見えない。



多くのリベラルや左派は「草の根民主主義」という「ポピュリズム」を批判し、愛国主義を否定し、共通善(公共の福祉)を重視していません。
 郵政民営化選挙の自民党の圧勝をポピュリズムの勝利とか「共通善」の実現として否定的にとらえている政治学者が私の周りにもかなりいます。私もあの自民党の勝利は「熟議民主主義」による勝利とは思わず、その点ではその結果は「共通善」ではないと思います。
 しかし、このことから「共通善」とは「多数者の専制」であるとして批判するのは間違っています。批判すべきなのは、その結果が本当に国民全体のためのものであり、一部のためのものではないか、つまり本当の「共通善」であるかという点です。
 さらに、議会制民主主義において政治の目的とする共通善は、永遠に変わらないものではありません。選挙の結果、別の政党が多数派になれば、当然それは変化します。議会制民主主義は、選挙の結果、政権が交代して、ヴィジョンやそれに基づく政策は変わりうるというルールを明確化している点で優れた制度であることをむしろ確認すべきです。(p.188-189)


リベラルや左派に対する指摘は妥当である。また、政策の妥当性を批判する際には、それが共通善であるか否かであるという現代コミュニタリアニズムの主張には傾聴に値するものが含まれている。

私は以前、「民意」とは何かという疑問を持ち、それについて考究してみたいと考えていた時期があったが、その問題と共通する問題が「共通善」の考え方に含まれていることが明確になった点でこの箇所は有益だった。

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