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アヴェスターにはこう書いている?
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「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

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橘木俊詔 『格差社会 何が問題なのか』(その1)

1976年に経済学者のマルコム・ソイヤーが、OECD調査に関する報告を出版しました。その中で、世界の先進国で所得分配が最も不平等な国はフランスであるという報告書を出しました。ちなみに、日本はこの時は、北欧諸国と同様に分配の平等性が高い国と報告されています。この事実が日本の所得分配の平等性を世に知らしめた影響は大きく、日本政府もこの報告書を自国の宣伝に用いたことがあります。
 この報告書に対して、フランス政府は驚いて、OECDに抗議をしました。・・・(中略)・・・
 なぜフランスがそのような抗議をしたかということに、私は関心があります。つまり、どこの政府も自分の国の所得分配の不平等性が高いと言われると、不快に思うようです。逆に、平等性が高いということを国民に知ってほしいという希望が、どこの政府にもあるのではないでしょうか。(p.30、強調は引用者)



すべての「国民」は「法の下に平等」であり、同じ制度の下で同じだけの権利や機会を持つべきである、という思想は、アンシャン・レジームを批判して成立してきた近代デモクラシーの基礎にある。

そうした思想が常識化している中において、「機会の不平等」が存在することはその常識に抵触するし、例えば「貧富の差」のような「結果の不平等」があり、それを放置しているとすれば、法の下の平等も権利や機会の平等も実質的に担保できず、アンシャン・レジームと実質的な違いがないという自己矛盾に陥ってしまう。つまり、どのような種類のものであれ、差別や格差が存在することは、デモクラシーにおける為政者にとって、その支配体制の根幹に関わる大問題なのである。

もちろん、理念的・思想的なレベルにとどまらず、実際に、不平等が大きく「国民」の多くがそのことに不満を持つようになれば、その為政者の「支配の正当性」が揺らぎ、ひいては「支配の実効性」までもが揺らぐことになる

以上のようなことから、支配層にとって自らの権限や権益を脅かすような事実(不平等であるという事実)は、被支配階層に対して伏せておきたがるのであろう。

そして、小泉前首相が「格差があって何が悪い」と、逆ギレないし開き直ったという事実は、どのように覆い隠そうにも、到底「平等で公平な社会になった」と言い逃れることができないという日本社会の現状を如実に物語っていると言えよう。

 私も近代経済学者の一人なので、競争によって経済効率を高めることは、大切なことだと思っています。しかし、経済効率を上げて、パイを増やすことが常に社会全体の利益を高めるとは限りません。現在のアメリカや日本では、増えた分のパイは下層の人には、さほど与えられず、上層の人ばかりが持っていってしまうだろうと予想します。すなわち、豊かな人がますます富を得て、そうでない人に富はまわってこないという状況です。このことをうまく説明するのが、「Winner-Take-Allモデル」すなわち「独り勝ちの論理」という考え方です。競争を行って経済効率を高めても、勝者がその成果を全部持っていってしまうという論理です。
 もっとも、たとえ勝者(すなわち高所得者)が多くを稼得しても、それを敗者(すなわち低所得者)に税などで再分配する政策に国民の合意があれば、「Winner-Take-Allモデル」も、まったく否定すべきではないでしょう。すなわち、経済効率を上げる政策として容認できます。この場合には、国民の間でこのような合意が成立しているのか否か、具体的に言えば、どの程度の税や社会保障による再分配効果を期待するかといった国民の意向に左右されることになります。
 しかし、翻って現在の日本に目を向けた場合はどうでしょうか。本章3で述べたように税の累進度は低下し続け、高額所得者、高額資産保有者が優遇されています。しかも、社会保障は負担のアップと給付の削減策の連続です。したがって、経済効率を上げることによって社会全体が豊かになるというのは、今日の日本社会においては、幻想に近いとさえ言えます
 また、セーフティネットについて言えば、後に詳しく論じますが、日本のセーフティネットは世界的にも最低の水準にあるのです。それを、さらに削減しようというのが、現在の構造改革です。したがって、構造改革を提唱する人たちが主張する敗者復活のためのセーフティネットの充実とは、まったく逆の状況が進行していることを、ここで指摘しておく必要があります。(p.65-66、強調は引用者)



私もまったく同意見である。現在の日本では下層の人々にパイが配分されないというのは、統計的にも示すことができる。近々、そのあたりをまとめようと思う。
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