アヴェスターにはこう書いている?
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椎野幸平 『インド経済の基礎知識 第2版』

 自国通貨建ての各国のGDPをドル換算する場合、市場為替レートと購買力平価レートの2種類があり、購買力平価で換算すると発展途上国のGDPは一般に大きくなる傾向がある。市場為替レートはその名のとおり、市場で交換されたレートであり、2008年であれば同年で実際に取引された為替レートの平均値を用いる。一方、購買力平価レートは、米国と当該国(この場合、インド)における同一の財・サービスのバスケットの価格を積み上げ(つまり、物価)、両国の換算レートを算出するものである(購買力平価レート=自国物価/外国物価)。ただし、財・サービスのバスケットは貿易財と非貿易財(床屋に代表されるように、一般に貿易が成り立たない財。生産と消費が同時に行われるサービス財に多くみられる)から成り立っている。非貿易財は実際には貿易されないため、市場為替レートと購買力平価レートの乖離要因の一つとなる。一般に、先進国では貿易財産業の生産性上昇によって貿易財価格の低下、市場為替レートの増価、貿易財産業への労働移動・賃金上昇による非貿易財価格の上昇などが見られる一方、開発途上国の非貿易財価格は先進国ほどには上昇せず、先進国との比較において割安な水準(先進国は割高)となっていることが多い。そのため、開発途上国の購買力平価レートは市場為替レートよりも増価することが広くみとめられる。(p.4)


外国に旅行に行くと、為替レートの違いによって私もそれなりの金持ちになってしまうのだが、自動車は電子機器などを除けば、生活水準は大して変わらないと思うこともある。そのあたりの実感とも、この説明はリンクしている。



 インド経済は総じて世界経済とのリンクが低く、内需主導の経済成長を遂げているため、世界経済の好不況の影響を相対的に受けにくい構造にある。(p.7)


ブレトン・ウッズ体制から金融グローバル化の体制への移行が遅かった(91年に経済自由化へ舵を切った)ことがこの背景となる要因として指摘できる。

企業の経済行動で考えた場合、この市場のシェアを早期に確保しておくことが有利と見るか、閉鎖的であるが故のルールの違いや規制をマイナス評価するか、という選択が考えられる。まぁ、この辺の判断は分野や自らの企業の力やライバル企業との力関係、インドで売れる水準の商品の有無などにもよるだろう。

ちなみに、旅行先としてのインドを考えた場合、早めに行かないと面白くない、というのが今の私の考えである。グローバルな資本が流入し、その作法がインドの内部にも浸透すると外部との差異が小さくなってしまうから、特別な場所(遠くの地)に来たという気分が得られなくなるだろう。



 インド経済が本格的な高成長軌道に入ったのは2003年度以降である。……(中略)……。各地で大型のショッピングモールが相次いで開設されるなど、インドの主要都市が目に見えて、変化し始めたのも2003年度以降である。(p.10)


一つ前の引用文に対するコメントの最後の部分のように考えながら、こうした記事を目にすると、早めに行っておかなければ、と思ってしまう。



 インド経済は貧困問題と地域による格差を抱えていることも特徴である。世界銀行によると、所得格差を表すジニ係数は0.33(99年度)で、中国(0.45、2001年)、タイ(0.40、2002年)などと比べ所得格差は相対的に低い水準にあるが、1日2ドル未満で生活する層が人口の80.4%、1日1ドル未満で生活する層は24.3%(2004年度)を占め、貧困層の絶対数が多いだけに、実感としての格差が非常に大きい社会である。(p.22)


意外とジニ係数が小さいことに少し驚いた。絶対的貧困が多くみられ、その貧困層のところに多くの人が集中している構造だということだろう。

中国やタイよりジニ係数が小さいのはインド経済が世界経済とのリンクが小さいとされていることと深く関わりがあるものと思われる。



しかし、今後の人口予測を見ると、2015年頃から老齢人口比率の上昇カーブがきつくなり、2035年には老齢人口比率(19.6%)が若年人口(16.4%)を上回り、労働力率は76.6%に低下し、老齢化紙数(65歳以上人口/15歳未満人口)は119.5に達すると見込まれる。この水準は2000年時点の日本の老齢化紙数(117.6)と同水準であり、今後、中国は急速な高齢化社会を迎えていくとみられている。
 一方、インドでは若年人口が2000年代以降、なだらかに低下する一方、老齢人口はゆるやかな伸びにとどまり、これから「人口の窓」が開く時期を迎える。(p.25)


中国の場合、日本の高度成長期(60年代)と同じような状況にあるので、あと25年あるので、これからの政策次第で日本ほど問題が深刻化せずに済む可能性もないわけではないが、年金などもまともに整備されていないようなので、こうした面では将来の中国は昨今の日本より酷い状態になる可能性が高いと私は見ている。

一党独裁型の支配構造があるため、一般庶民の福利厚生を高める方向の政策を打ち出す誘引が低い傾向があると見ているからである。但し、他国の失敗等から学ぶことができる有利さも中国にはあるので、そこを的確に見極めて持続可能性を考慮した社会保障政策を打ち出せれば、中国もそこそこ暮らしやすい世の中になっていくだろう。

インドの人口増加は将来的にはインドの経済力や政治力の増大に寄与する傾向を持っているだろうということは否定しないが、労働力が過剰になってしまうことや工業生産で輸出で稼ぐ構造から、賃金が高くなって金融で生きていく傾向が強まってくると人口の多さは却って仇となる可能性もあるように思われ、今世紀末頃にはその否定的な側面が出ているかもしれない。まぁ、私はそれを見ることはできないだろうが。



 ただし、高い労働力率は、経済の潜在成長率を高める一方で、雇用が供給されなければ、優位性は一転して、社会不安の原因ともなりかねない。(p.25)


私の懸念と同一の問題を指摘していると見ることができる。ただ、こちらの方がより一般的で射程範囲も広い捉え方である。



 外資規制をめぐって最も注目されている分野が小売である。小売分野は一部例外を除いて外資系企業の投資は認められていない。東南アジアや中国などでは一般に見られる外資系のデパートやスーパー、コンビニエンスストアなどはインドではまだ見られない。例外的に認められているのは、単一ブランドの商品販売であり、一部の外資系メーカーは直販店をインド国内で展開している。(p.187)


インドを訪問した際には、このあたりの実態を観察して来たい。


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