アヴェスターにはこう書いている?
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佐藤正哲、中里成章、水島司 『世界の歴史14 ムガル帝国から英領インドへ』(その1)

しかし、カジュラーホーを占領したムスリム軍が、その著名な寺院や彫刻を破壊しなかったことは注目されよう。このことは、彼らが復讐の怒りに駆られたときとか、イスラームの力を誇示する必要があったときなどは別として、異教徒の「偶像」でも不必要な破壊はおこなわなかったことを示している。(p.35)


異なった宗教を信仰している人々はほとんど常に対立していると考える発想は誤っているということ。むしろそれらは近代になってから顕著になった現象であると考える方が妥当だろう。



ラージプート王権は、人びとの霊的・精神的拠り所である寺院や彼らの儀式を司り、精神面で指導するバラモンなど宗教権威を利用してその所領支配を貫徹していった。(p.215)


司祭などは知識人であると同時に、行政的な官僚でもあったため、それらの勢力を取り込むことによって統治を安定させるということは、世界史的に殆んど普遍的な現象であるように思われる。宗教は政治的な現象である。



しかも、こうしたペルシア文化の影響は、次のような二つの事情によって促進された。一つは、ムガル朝の「寛容な姿勢」が、サファヴィー朝の王の熱狂的なシーア派政策あるいは王権強化策によって祖国を逐われた多数のペルシア人の貴族や文化人を保護し、迎え入れたこと、その結果として、彼らのインドにおける多彩な活動となったこと。もう一つは、歴代の皇帝の母后や妃には、サファヴィー朝の王家や王族、貴族の出身者が多く、こうした「ハーレムの影響」が大きかったことである。(p.219)


サファヴィー朝がシーア派を奉じたのは、「純粋な宗教的理由」ではないという理解も重要であるように思われ、この記述ではそれが欠けている。

サファヴィー朝の王族や貴族がムガル朝の宮廷に入り込んでいるというのは、政治的な安定のための方策だったのだろうか。



しかし、ムガル宮廷の保護を失った絵師たちは、十七世紀から十八世紀にかけてラージプート諸王国やパンジャーブの山岳(パハール)地域に保護者を見いだして移住し、後にブーンディー派などラージプート諸派あるいはパハーリー派と呼ばれる画風をつくった。(p.222)


芸術作品を見るときにも、パトロンを意識しておくことは重要である。



タージ・マハルの原型とされるデリーのフマユーン廟は、アクバルの義母ハージー・ベーガムの指揮監督の下に、彼女の好みにしたがってペルシア人設計技師の手により建造された。庭園のなかに鎮座する廟は、デザインはペルシア様式であるが、内部構成はヒンドゥー様式である。(p.224)


外来の様式と在来の様式が混合しながら、あれだけ調和しているように見えるというのももしかすると珍しい現象かもしれない。



 アクバルの建築上最大の仕事は帝都スィークリーの建設で、1572年のグジャラート征服を記念するためにファテプル(勝利の町)・スィークリーと呼ばれるようになった。水不足と不健康な環境のため1585年に廃都となるが、ここに残るジャーメ・マスジッド(モスク)とその大城門(ブランド・ダルワーザー)、五層の宮殿などから、ペルシア様式とヒンドゥー様式の融合というアクバルが掲げた理想の一端を見ることができる。(p.225)


ここも訪問したい場所なのでじっくりと見てこようと思う。



ただ、妃ヌール・ジャハーンがアーグラーに建設した彼女の父イティマードゥッダウラの廟は豊富な装飾で飾られた白大理石の建造物で、シャー・ジャハーンの時代にその頂点に達するムガル建築の美を先取りしている。(p.226)



本書によると、この廟は「ムガル建築史の上ではきわめて重要で、アクバル時代の素朴・豪壮な赤砂岩からシャー・ジャハーン時代の壮麗な大理石の建築への移行期に位置するもの」(p.226)とされている。よく見てきたい。


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