アヴェスターにはこう書いている?
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深見奈緒子 編 『イスラム建築がおもしろい!』

 日本の最初のモスクは1931年建設され、戦災で消失した名古屋モスクで、1935年の神戸モスクと1938年の東京ジャーミィが続く。戦前のモスク建設の背景には、大東亜共栄圏構想のもと、軍の支援でイスラム研究が盛んになり、ロシア革命の後ムスリム・タタール人が多く日本に亡命したことがあげられる。1938年の東京ジャーミィの落成式に国家主義者の頭山満などの軍関係者が多数参列したことは、モスクの建設が政治的な目的をもっていたことを示唆している。(p.52)


興味深い指摘。これは宗教は、信仰の問題ではなく政治的現象であるという私の持論とも合致する。



墓は忌むべき場所ではなく、むしろ人間の死後、最後の審判にいたるまでの天国への待機所の意味から、墓と庭園が深い関連をもつ。インドのタージ・マハルをはじめ、ムガル朝皇帝たちの墓建築は、庭園に設えられた死後の宮殿ともいえる様相を呈している。(p.58)


庭園は楽園を表現するので、墓も楽園に住む前の待機所として庭園と共にあるということか。



 雁行型配置や回遊式庭園など、非対称の美をイスラム建築に見い出すことは難しい。建物は囲われた矩形中庭を基本とする。アーケードをつくる場合には、中央のアーチが定まる奇数分割が好まれる[①]。偶数分割だと、中心線上にピアや柱という物体が位置してしまう。次第に、中庭の軸線となる空間としての中軸廊が、高く、あるいは幅広になる[1-5①]。さらには、そこにペルシアでは際立つ大アーチをもつイーワーンを据える[②]。こうして、中庭を直交する2軸が形成されていく。実体よりも空間を是としたイスラム建築では、こうした一連の過程が、ムハンマドの家から500年余りのあいだに見てとれる。(p.102)


このように、歴史的展開の仕方を一般的なモデルとして提示されると、実物を見た際の理解の補助線が引かれる。

これは非常に参考になる図式だと思われる。



 ムカルナスやアーチ・ネットを年代的に比較してみると、微細化の方向が指摘できる。10世紀に生まれた当初の中央アジア[6-9②]やコルドバ[5-6④]の例とその後の発展形[①②、5-10①]を比べると、その変容は顕著である。その理由は、本来、アーチの曲折、交差などという構造的な工夫に起因する技法が、次第に装飾に特化していくことにある[②]。曲面の微細化を極めると、小さな曲面で構成されたムカルナスは、イスファハーンの王のモスクの主礼拝室のように微細な模様を施した大ぶりの曲面へと回帰していく[③]。これは、装飾がまったく構造から乖離し、空間を包む膜へと転化したと解釈することができるのではないだろうか。(p.114)


これも一つ前の引用文同様、非常に役立つモデルであると思われる。と同時に非常に興味深いものがある。


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