アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

日本産業遺産研究会+文化庁 歴史的建造物調査研究会 編著 『建物の見方・しらべ方 近代産業遺産』

 以上のような調査を行うに当っては、まず自分の目でよく観察し、その工場建物の建築的な特徴をとらえるようにすることが重要である。調査の経験があまりない人は、比較できる工場建物の事例をわずかしか知らないので、どのようなことが建物の建築的な特徴なのかわからないかもしれない。このような場合は、まず工場建物を見た時の印象を箇条書きでノートに列挙してみよう。「めずらしい構造だなぁ」とか「大きな空間だなぁ」とか、自分自身が感じた印象を列記したら、なぜそのような印象をもったかを考えてみることである。このような疑問から意外なことがわかり、多くの特徴を見つけることができるはずである。(p.39)


実地での調査の際に非常に重要な方法であると思われる。調査だけでなく旅行などで旅先の土地を見たときにもこうした習慣をつけておくとより深く、興味深く訪問した地を見ることができ、それらの土地についてより深く理解することができるようになるだろう。



のこぎり屋根は、一般に北面して北方光線を取り入れることにより、直射日光で光にむらのない安定した明るさの天空光を採光することができる屋根で、機械工場や紡績工場などに多く採用された形式である。また、越屋根は、屋根から採光や換気を行うための棟に一部を持ち上げて作られた小さな屋根のある形式である。奥行きの深い工場の内部空間でも、ある程度の適切な照度分布が得られるので、多くの工場建物で用いられている。なお、屋根の形式ではないが、採光のために付けられた屋根から突出した窓として、ドーマー・ウィンドウ(dormer window)がある。(p.42-43)


越屋根は工場だけでなく鰊漁場建築でもよく使われている。私は以前、鰊番屋などはどうしてあのような2段型の屋根になっているのか不思議に思っていたのだが、比較的最近、採光と換気のためであることを知ったので、この叙述を読んで一般的にこうした用途で使われているらしいと理解できた。なお、現存最古の煉瓦造の機関車庫である手宮機関車庫にも採光のための越屋根があった。このように、工場以外でもよく使われていたようだ。



 ウ、木骨石造
 木構造の防火性能を高めるために、木造の骨組みの外側に石を積み、かすがいなどの金物で固定して、外観を石造のように見せた構造形式である。この木骨石造は、居留地をはじめとする初期の洋風建築でみられたが現存例が少なく、わずかに小樽市の倉庫(216頁)が群として知られている。

 エ、バルーンフレーム構造(balloon frame construction)
 バルーンフレーム構造は、機械割りの薄い間柱に、同じ幅の下見板の外装板を張り付けて組み立てるもので、19世紀前半にシカゴで開発されたといわれる構造である。アメリカの影響を大きく受けた北海道開拓使で使用され、札幌農学校模範家畜房(明治10年、88頁)などがある。(p.54)


木骨石造とバルーンフレームは小樽や札幌などの建築を調べていると必ず出くわす工法である。



大阪府南部はかつて、わが国有数の綿の産地であったが、この綿栽培には、北海道でとれる干鰯が不可欠だった。(p.85)


江戸時代末期から明治時代を通して、北海道では鰊漁が大きな産業だった。それは綿花の輸出による外貨獲得に繋がる形で、当時の日本政府や産業界にとっては重要な産業構造の一部をなしていた。



 ところで戦前にもリゾート・ブームが日本中をにぎわした時代がある。昭和5年から15年にかけての約10年間で、この時は日本人が対象でなく、多くの外国人客を誘致する目的でリゾート・ブームが起きている。当時の日本は諸外国と同様に世界不況の嵐にさらされていた。そのときに考えられたのが観光で外貨を獲得し、国際収支の赤字を少しでも埋め合わせようという、政府の赤字減らし対策として始められたのである。(p.192)


景勝地では、この時代に多くの老舗ホテルが建てられたという。小樽の建築で言えば、外国人専用のホテルとして建てられた旧越中屋ホテルが建てられたのが昭和6年であり、まさにこの時代であったことがわかる。地方の目立たない建築も、こうした世界大ないしナショナルな流れの中に位置づけると興味深いものが見えてくる



スポンサーサイト

テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://zarathustra.blog55.fc2.com/tb.php/693-89080dbc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)