アヴェスターにはこう書いている?
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鈴木博之 『建築家たちのヴィクトリア朝 ゴシック復興の世紀』

 二十世紀に入ると、中世をモデルにするかわりに、機械をモデルに据えた、未来にユートピアの原型を置く発想がデザインを導くようになる。ユートピアの原型を過去ではなく未来に求めるというこの変化こそ、ヴィクトリア朝のデザインとモダン・デザインとの決定的な差異なのであり、それはスタイルの変化というよりももっと大きな、ユートピア観の変化なのである。(p.234-236)


建築で言うと歴史主義的な建築から未来派やロシア構成主義のような傾向への変化が見られた。

同じ時代の西欧の絵画を考えて見ると、フランスのサロンではギリシアやローマの神話を題材とした絵画が描かれていたが、19世紀末から20世紀初等の印象派などは、技術的には点描画法に通じる方向性(テレビやデジカメの表示方法とも似ている)が採用され、こちらは未来ではないが現在の瞬間を捉えようとしていた。歴史主義からの解放のようなものが起きていた点では共通している。

また、ドイツの経済学に目を転じると、ドイツ歴史学派と近代経済学的な手法を重視するオーストリア学派との方法論争が19世紀後半に展開され、20世紀初頭までにはオーストリア学派が優勢という形で終結していた。これも歴史主義から「科学」的なものへのシフトであり、また、数式という時間を越えて普遍的に適用されることを求めるものへの志向を含んでいたという点でも建築や絵画の動きと並行するものがある。

工業化が進展し、次々と新しいものが生み出されて来た時代であるがゆえに、歴史的なものを回顧するという以上に、something newが求められる傾向があったということがこれらの傾向に反映しているように思われる。

もちろん、19世紀から20世紀初頭はナショナリズムが勃興した時代であり、そのために「国民の歴史」が物語として作られ、語られてきた時代でもあった。つまり、歴史的なものが常に軽視されていたわけではない。ただ、ユートピア観ということで言えば、やはり未来へのシフトというのはあったように思われる。まぁ、世界全体から見ればほんの一部の地域でのことではあるが。

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