FC2ブログ
アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

布川日佐史 『生活保護の論点 最低基準・稼働能力・自立支援プログラム』(その1)

 1984年の同方式(引用者注;消費水準均衡方式)導入以来、一般勤労世帯の1人当たり消費支出額と、生活保護世帯の1人あたり消費額を比べると、後者は60%台後半で推移してきた(図表1-6)。それが70%に近づき、2001年度(平成13年度)に70%をこえた。(p.16)


一般勤労世帯の消費水準が下がっているため生活保護のレベルに近づいている。確かにこれをだけをもって保護の基準を下げるならば、貧困へのスパイラルがはじまる可能性は否定できない。しかし、納税者が増税に反対している間は基準の引き下げもやむを得ないのではないかというのが私の考えである。

私自身は増税論者なので、増税した上で生活保護の基準は維持し、それ以前の段階の社会保障、特に労働に関するものと年金に関するものを拡充すべきであると考えるが、増税が悪いことであるかのように語られる中では生活保護の基準の切り下げを行わざるをえないだろう。なぜならば、生活レベルが下がっているのだから生活保護の対象者は増えるが、予算は増えないから一世帯当りの給付は下がらざるを得ないからである。増税に反対するということは、こういうことを意味すると考える。(生活保護以外のものを削れという論はありうるが、公共事業削減は単純労働、肉体労働の減少であり、生活保護受給者の増加に直結するなど、何を削っても、ほとんどの場合、最終的には生活保護の増大に結びつくのである。)



 まず確認すべきは、加算はプラスアルファの「おまけ」ではないということである。加算は、何らかの問題を抱え、特別需要を持った人が生きていく上で必要な給付である。生活扶助本体(1類費、2類費)を「家」にたとえるなら、バリアフリーのための補助具や改築が加算というイメージである。(p.35)


「加算」という言葉からはどうしてもプラスアルファというイメージになってしまうが、「通常より深い穴の穴埋め」のようなものということだろう。家のたとえはなかなか的確でわかりやすかったのでメモしておきたかったので引用。



稼働能力を活用していなくても保護の要件を満たすというここでの方針と、稼働能力を活用していることを保護の要件とするという原則とは、矛盾する。
 この矛盾の上に、本人が稼働能力の活用にあらゆる努力をしている限りにおいて、という但し書きがおかれている。そうなると、稼働能力を活用していることを要件とはしないが、その代わりに、能力活用のためのあらゆる努力をしていることを要件とするということになる。あらゆる努力とは、どんな基準で「あらゆる」と判断するのか。そもそも、努力をしていることがどうして保護実施を決める新たな要件となるのか、根拠は示されていない。
 具体的な指針として、実際に就労していなくても「誠実に求職活動をしていれば稼働能力を活用していると判断する」という通知も出されている。この通知では、求職活動そのものが稼働能力の活用であると解釈されているように見える。求職活動が保護開始要件であるという誤解も生じてきた。「誠実に」という基準も曖昧でしかない。保護開始前1か月の間、2日に1回職安に通ったかどうかを保護開始要件とするような福祉事務所も出てきた。ケースワーカーに言われたとおりの求職活動ではダメで、自主的にあらゆる努力をしないといけないと主張する福祉事務所もある。(p.80)


このあたりについて著者の法解釈は誤っているというのが私の理解である。なぜならば、生活保護法第4条は「稼働能力」の活用を保護の要件としているのではなく「能力」の活用を要件として明確に謳っているからである。著者は「能力」を「稼働能力」に矮小化して解釈することで上記の「矛盾」を自らでっち上げてしまっている。

稼働能力がある者が求職活動を行うことは「稼働能力」自体を活用しているわけではないが、それに向けた「能力」を活用していることにはなるだろう。

ただ、「あらゆる」努力をしているという判断基準や「誠実に」活動しているという場合の判断基準は客観的に一律に示すことは難しく、このあたりは厚生労働省の通知の難点であると考える。私自身もこの問題について最近考えていたところであった。


スポンサーサイト




この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://zarathustra.blog55.fc2.com/tb.php/672-5a97d35c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)