アヴェスターにはこう書いている?
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新藤宗幸、木村陽子、斎藤貴夫、平松邦夫、道上正寿 『いま、見直すべき生活保護制度』

 いずれにしましても、そういう級地指定を外して、全国一律の金額で現金給付をする。生活扶助の部分は、そういうふうに改めるべきではないか、と思います。
 そして、財源的に言うならば、給付額については全額国庫負担にしろ、と申し上げたいと思います。(p.15-16)


新藤氏の意見に私も賛成である。ナショナル・ミニマムは中央政府の財政責任において保障すべきである。

もし、級地区分を残すのであれば、基準額を逆転させるべき(例えば、現在の1級地の1で3級地の2の基準額で支給する)であると考える。都会の方が売り手の競争が激しい分だけ安くものを買えるし、交通費なども公共交通機関が発達している分だけ安く上がるので、そちらの方が生活の実態に合っていると思われるからである。



 また、都市の貧困化ということで言うと、いま生活保護受給者の9割が市に住んでいて、さらに全体の5割が人口30万人以上の市に住んでいます。貧困問題というのは、日本では都市の問題になってきています。(p.32)


木村氏の発言。

高度成長期に出稼ぎに都市に出てきた人々が高齢化し、また、それらのうちで働いていた人でも仕事がなくなってきたということが反映しているようである。

年金額が少ないというよく知られた問題のほか、公共事業による土木や建築の仕事が減少したため、単純労働や肉体労働しかできない人たちにとって仕事がなくなってきているという現状などが背景にあると思われる。若年者のワーキング・プアの問題もあるが、そうした人たちも結局は地方では仕事がないので都市に出てワーキング・プアとして働いている人が多いであろう。そして、地方では人口流出と都市部以上に急速な高齢化の進展という形でひずみが出ている。



ほかの国民健康保険だとか、不備はいろいろあったはずですが、いまほど問題があからさまになっていなかった最大の理由は、企業社会がむしろセーフティネットになっていたからですよね。多くの人が終身雇用で雇われていて、それぞれの企業の福利厚生としてやってくれていたから、行政はいまに比べればはるかにウェートが低かった。だけど、構造改革でもって企業社会の側がそれを一気に切ってしまったので、行政にかかる負担が一気に高まったという整理でいいんだろうと思います。
 ですから、このあとの就労支援というのも、以前と違って、ただどこかで雇われるようにしてあげればそれでいいということだけではないはずなんですね。(p.53)


斎藤氏の発言。鋭い指摘であり、ここは私が今回本書を読んで最も参考になった箇所かもしれない。

現在では職に就ければよいというわけではないという指摘は重要である。ただ、これは生活保護制度の枠を超える問題である。生活保護受給者の多くは低学歴・無資格(自動車免許すら持っていないことが多い)であり、職歴などを見ても職を転々としていたり、比較的単純な仕事をしていた経歴しかなかったりする。最近、ハローワークの方で資格を取得するための支援を強めているようであり、介護職などの資格は確かに有効な部分もあると思っており、私も多少は評価しているのだが、資格取得の促進で問題が根本的に解決するかと言うとそうでもないと思われる。

高度な専門知識や技能がなくても可能な仕事――それでいて何らかの付加価値が生じるようなもの――をいかに作っていくことができるか、さらにそれをいかにして安定的に供給できるか、ということが問題であるように思われる。貧困問題にコミットして必ずぶち当たる壁が「そもそも仕事が足りない」という問題である。

(なお、「ジョブ資産(資産としてのジョブ)」という考え方によれば、人が余っているのだから、その人たちは必ずしも働く必要がないという論も出てくるかもしれないが、経済活動が大きく伸びている場所とそうでない場所がある場合、前者によって後者がさらに駆逐されていくという問題があり、政治的な所得分配は主権国家の領域内で基本的に行なわれるため、その場所から離れられないということを所与の事実とする限り、仕事がないなら働かなくて良いという論理は、その場所ではさらに仕事がなくなることを促進する可能性が高く、分配が世界大で行なわれる可能性が現時点では皆無といってよいことを考慮すれば、やはり政策としては採用できないと思われる。)



 あとで話題になるかもしれませんが、財源論にもかかわりますけれども、どうしても消費税で社会保障費をという言い方がされるわけですが、消費税というのは、実が多くの人が考えているほど簡単な税制ではないんですね。間接税である一方で、事業者にとっては単なる直接税、売上税でもあって、消費者の預かり金と言っているけれども、消費者に転嫁できない場合もいっぱいあるわけです。大企業の下請けが請求書に消費税分を上乗せしてくれなんて書いたら、そもそも取引を切られるでしょうね。ですから、消費税がこれ以上上がると、中小零細の事業者は確実に倒産していきます。我々のような自営業、自由業というのはそもそも成立しなくなる。
 また、非正規雇用というのは、実は消費税が上がってきたから非正規雇用になってきたという側面もあります。(p.54)


これも斎藤氏の発言。消費税増税論への批判として中小零細企業の立場からの批判は意外と少なく、貴重な意見である。



生活保護をいったんもらい始めるとなかなか卒業できない。家もないとか、車も持ったらいけないとかいう状態になって、自立のための手段がなくなっている、と言うのですね。ですから、就労支援の対象者は、そういう自立のための財産は残しておくようにというのが私たちの一つの提案です。(p.58-59)


木村氏の意見に私も賛成である。マイカー通勤ができないために就労可能先の選択肢が狭くなるということも実際に起こっていることである。家を持っても良いという部分については、居住している家を持つことは基本的に(よほど資産価値が大きくない限り)認められているので、東京などはどうか知らないがあまり問題はないと思われるが、自動車の保有と使用については就労支援を行うという前提のもとで認めてよいと思われる。

ただし、事故などに備えて保険加入を義務付けてそうした書類の写しを福祉事務所に提出させるなどの対策は必要だろう。金もなく保険もかけずに車を運転して事故を起こしても弁償もできないという人が増えるようでは問題だからである。


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