アヴェスターにはこう書いている?
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増田彰久 『カラー版 近代化遺産を歩く』(その1)
旧札幌農学校時計台

 この建物は英語のドリルホールを訳し演武場と呼ばれている。札幌農学校では必須科目として兵学を課していたので、その訓練のために、この演武場が作られた。一階が講義を受ける教室になっていて、二階が演武場になっている。(p.14)


札幌農学校で兵学を教えていたのは、当時のロシアの脅威が北海道開拓の背景的要因にあったことを反映しているように思われる。また、「開拓」の内実が「征服」であったということも関係していそうに思われる。



 駅は町のシンボル、ということで歓迎されただろうと思いがちだが、その当時(引用者注;明治初期)は駅をつくるときにも、いろいろな問題が起きた。江戸時代、都市の玄関は各街道に設けられた大木戸であったが、明治に入ると駅が都市の玄関になる。しかし、どの都市でも駅は町の中心にはつくることができなかった。鉄道建設に強い反対があったからである。大阪をはじめ、京都、名古屋などの大都会も例外ではなかった。地方でもとんでもないところに駅が誕生したことにより、江戸時代の都市の構造は大きく崩れていく。駅から町の中心までは道路でつなぐことになり、そこで駅前大通りが生まれていく。この通りが新しい町の骨格となり、町を大きく変えていった。駅は都市のイメージの中心となり、新しい核となった。新しい文化や近代的な技術を鉄道が運んでいった。駅は文明開化の窓のようなものであった、ということができる。(p.20)


駅の場所と市街地の展開の関係は興味深いものがある。

日本では今は駅は町の中心近くにあるが、外国では町の中心からは外れた場所にあることも多い。パリの駅の配置などが想起される。北駅、東駅、リヨン駅、モンパルナス駅、サン・ラザール駅、オーステルリッツ駅、ベルシー駅といった駅が旧市街を囲むようにして配置されている。ここには駅前通りは存在しないように思われる。他の町でも確かに旧市街の外れにあることが多いように思われる。

中東でも私が行った限りでは駅は市街の中心にはなかったように思う。

そのあたりを考えると、日本の都市における駅の位置づけというのは、やや変わった部類に入るのかもしれない。しかし、中国や台湾などでは駅は日本と似た位置にあるように思われる。国や地域によって相違があるとすれば、それは政府の政策などの影響も大きいものと考えられるが、市街における駅の設置場所はどのような考え方に基づいて決められたのか、やや興味が引かれる。



 昔の国鉄では日本的なデザインの駅舎もたくさんつくられた。時代的には大正から昭和のはじめのころに当たる。なぜこのような和風や和洋折衷の駅舎がつくられたかと言うと、当時、国鉄はシベリア経由の世界周遊券を発行したり、中国大陸への連絡便をつくるなど目覚ましい発展を遂げていた。国際化が進み、外国人観光客も増えると共に日本的なスタイルの駅舎が全国の観光地に広まっていった。欧米人にとって異国情緒あふれる和風スタイルの駅舎は、まことに魅惑的な感じがあったに違いない。(p.30-31)


西暦で言うと1910年代から30年代頃だろうか。外国人観光客の目を意識して和風デザインが採用されたというのは興味深い。

1930年代後半頃からの植民地建築が現地のローカルなスタイルを取り入れるようになるというのも、部分的にはこうした要素も下地にあるのかもしれない。『日本の植民地建築』では満州事変以後の日本の孤立化とそれに伴う欧米に認められる必要性の減少という要因が指摘されており、それはそれで尤もな部分があるが、ローカルなスタイルの採用は私的な建築ではもう少し前から導入されていたことを私は前回の台湾旅行で見てきたこととも併せて考えると、やはり国際政治的な要因はあったにせよ、それだけでは説明できず、30年代より前のグローバル化が背景にありそうである。


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