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アヴェスターにはこう書いている?
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パスカル 『パンセ』(その2)
『パンセ』だけでなく、『世界の名著 パスカル』を読んだ上での私見。

パスカルに対して私が感じたのは「断片的な記述ばかりであまり徹底的につめて考える人ではない」ということである。議論の仕方としては、二項対立を利用した議論が多く、それらの両方を部分的に承認しながらその「中間」を是とするというのが基本的なパターンであるようだ。しかし、その弁証法的な論理が、必ずしもきっちり詰められているとも思えずないのである。

また、確実さを求めている割に、イスラームへの非難などはよく知らずに行っているとしか思えない点も気になった。同じようにキリスト教を弁護する際にはかなり独善的・独断的な命題を基礎に置いたりもしており、懐疑と信念のギャップが激しいのも特徴である。


特に『パンセ』では、キリスト教を弁護する議論が多い。このことは17世紀という時代(フランス北部・中部)の状況を反映していると思われた。

まず、論理的に無理が多く、独善的・独断的であるが、このことはキリスト教を弁護するということ自体が、思想的にもかなり苦しい立場になりつつあったことを示している。すなわち、キリスト教自体の知的正当性が失われつつあったことを垣間見えると私には思われた。

例えば、パスカルの表徴論などもその事例となるのではないか。パスカルは、新約聖書に対して旧約聖書がその予型にもなっている(二重の意味を持つ)ということによって、新約聖書に基づくキリスト教を正当化できると考えている。このような「幼稚な」議論に逃げ込まざるを得ないほど追い詰められていると私には見える。

なぜなら、新約聖書と旧約聖書は書かれた時代が異なるのだから、新約聖書の著者が旧約聖書を都合よく利用できたのは当然であり、似た部分が出てくるのは作為的にできることである。それなのに、「それらの間の対応関係を見て旧約は新約の表徴となっているから正当である」と言ってみたところで、歴史的な視点を持って考えれば、そうした証拠にはならないからである。

また、少し時代は下るがライプニッツなども『弁神論』を書いており、これらの著書が書かれたという事実は、キリスト教を理論的に弁護しなければならないという要請(個人的と社会的のいずれも)が持続的に高まってきたことを示しているとも考えられる。

これは、世俗諸侯の勢力が教会の貴族の勢力に対して相対的に優位になり、教権制的な支配構造が揺らいでいることが、その背景にあると思われる。

また、弁神論が必要であるということによって、キリスト者であろうとするものは分派に追い込まれるという現象が生じていたのではないか。すなわち、分派のより重要な原因は他の社会的・政治的・経済的な要因によるとしても、それをイデオロギー的にも推進してしまっているように見える。というのは、キリスト教を弁護しようとしても、その弁護するときの理屈が各人で異なってしまうために、互いに各々の支持者同士で批判しあうことになるからである。

こうしてセクト化した人びとは、集団が小規模になればなるほど、より熱狂的に信じる方向に進む者が出てくる。マックス・ウェーバーがこの時代を極めて宗教的であったと描き出すのも、そうした人びとが残した文献が多く残っていることと無縁ではないと思われる。(もちろん、社会的に停滞期であったために宗教が提供する共同体的な凝集が必要だったという要因も考えられるが。)

しかし、繰り返しになるが、それと同時に(一見すると相反するが)政治と社会の世俗化も進んでいたのが、この時代の(フランス北部から中部の)状況なのではないか、というのが、私が本書から読み取った限りでの時代状況である。

より実証的で本格的な研究と、私が読み取ったものとを、今後比較できたら面白いと思う。
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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

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