アヴェスターにはこう書いている?
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小野洋一郎 『最新版 小樽歴史探訪』(その1)
はじめに断っておくと、「最新版」と銘打っているが、本書は1999年のものである。

小樽駅舎

 開拓使によって敷設された北海道炭礦鉄道会社の経営下に入っていった。それから十年、民間において「函館-小樽間の鉄道の実現」を要望する声が高まった。そうした世論を背景として、渋沢栄一や北垣国道らの尽力と苦労の末に、同三十二年十月に開かれた会社創業総会において、北海道鉄道株式会社が設立されることとなった。経済界の不況及び企業としての収益採算に疑問を抱き投資を渋る者が多く、資金難に遭遇しながらも、やっと政府の補助金を獲得できる目処がついて、同三十四年に鉄路の敷設に着工することができたのであった。これには、日露両国間の情勢の険悪化が微妙に作用していた。時の陸軍大臣は、閣議において『北海道鉄道の軍事上の必要性』を強調し、「旭川の兵鎮と函館要塞とを連絡して動員及び兵站輸送とを自由にする」ことを力説したのであった。(p.14-15)


現在の「小樽」駅は、日本の一般営業用鉄道として3番目に作られた幌内-手宮(小樽)間は北海道炭礦鉄道会社が営業していた手宮線では使われておらず、現在の函館本線にあたる別の鉄道路線(この引用文の北海道鉄道㈱によるもの)で使われており、駅名も「小樽中央」駅だった。

この路線が作られる際に補助金が一役買ったようだが、その背景には日露の関係悪化(実際、この駅ができた1903年の翌年に日露戦争が勃発する)とそれを念頭に置いた軍事的な思惑があったという話。

もちろん、このときの駅舎は現在のものではない。現在のものは昭和9年(1934年)竣工の3代目である。



小樽の旧ウォール街概説

銀行の小樽への進出は、三井銀行や日本銀行がいち早く、それ以外の銀行も大部分が明治時代末年から大正を経て、昭和の初年にかけてであった。この間に、小樽の大発展が見られたことを雄弁に物語っている。国内商業活動は勿論のこと、外国貿易にあっても進展はめざましかった。第一次世界大戦の頃には雑穀の輸出が盛んとなり、第二次世界大戦が勃発するまでそれは続いた。小樽の活況に歩調を合わせるかのように、各銀行も隆盛の一途をたどった。しかし、第二次世界大戦が敗戦に終わり、樺太の喪失や沿海州をはじめとする諸外国との貿易の途絶に近い状態等は、その後の小樽の港と街の衰微を招く元ともなった。やがて、陸上運輸の著しい発達もあり、北海道経済界の札幌への中心移動があって、昭和三十六年の住友銀行を皮切りに、各銀行は小樽から支店を続々と引き揚げていった。(p.22-23)


詳しくはわからないのだが、三井銀行が早期に小樽に進出したのは、明治15年に開通した幌内-手宮間の鉄道の払い下げを受けて経営していた北海道炭礦鉄道会社が三井財閥のグループであったことと関係しているのではないだろうか?

また、肥料として高く売れていた鰊の価値が下がってきた頃に、第一次大戦によって雑穀という商品が入手できたことによって経済的な繁栄をある程度続けることができたことも、この街の歴史を見ていく上では重要なポイントになる点だろう。

昭和36年(1961年)頃から急速に斜陽化が進むようだが、これは恐らく戦後の統制経済によって行政の機能などが札幌に集中したことによる効果が現れたためではないかと推察される。また、絶対的貧困が存在した戦後まもなくの時期と比較すると経済的にも自由化が進んだことによって「優先的選択」が行われた結果、隣に札幌という大都市がある小樽からは容易に経済主体が退出し、札幌へと移転することができたのだろう。



梅屋商店

 大正四年頃に結成された伝統ある繊維関係の小樽問屋同盟会は、既得権や積立金計算の問題などがからんで、一切の新規加入を認めていなかった。そこで、加入できない新興の洋物問屋仲間は、寿原英太郎を会長として、小樽洋物卸商組合を設立して対抗した。梅屋は、建物自体の建築年代は古いけれども、洋物の扱いは新しく、その新興の卸し問屋の一つであった。隣の塚本商事とは、何かにつけて対抗関係にあった。(p.39)


こうしたエピソードを知りながら現地を訪ねると面白さも倍増するだろう。


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