アヴェスターにはこう書いている?
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森川清 『権利としての生活保護法 その理念と実務』(その3)

 なお、2007年の生活扶助基準に関する検討会でも級地格差が大きいことが問題となったが、級地格差を拡大したのは1985年であって、ちょうど国の負担割合を80%から70%に変更した年である。低い級地の市の財政力が乏しいことを考慮して、負担金増額分を級地格差拡大で補ったのではないかと勘ぐりたくなる。(p.70)


著者の「勘ぐり」に同感である。



 そして、優先する他法他施策の請求権のうち、請求権が確定していて、要保護者自らの行為によって請求が可能なものについては、資産又は「その他あらゆるもの」(法4条1項)に該当する。(p.100)


年金の受給権などはこれに該当するということだろう。



 通院すべき指定医療機関の選定は福祉事務所の権限であるが、保護の実施に支障のない限り、患者の医師に対する信頼その他心理的作用の及ぼす諸効果を合わせて考慮して要保護者の希望を参考とすることとしている(生活保護法による医療扶助運営要領に関する疑義について 昭和48年5月1日社保第87号厚生省社会局保護課長通知・問3)。(p.117)


生活保護の現場ではこのあたりの考え方は実際の運営とかなり乖離していると見られる。医療扶助の支出が極めて大きいということを生活保護行政に関して行政側が問題視しているが、このあたりの運用を制度の通りにすることで、かなりその目的を達することができると思われる。もっとも、その場合、受給者側の「満足度」は下がるだろうが。



 被保護者を国民健康保険の適用除外としているのは、地方財政的な配慮の問題で性質上適用除外とされているわけではない。国民健康保険の自己負担額が5割から3割に変更するときに、それまで生活保護を利用しながら国民健康保険を利用できていた人達が国民健康保険から完全に排除された(1963年3月31日国民健康保険法改正)。(p.124)


本書はもっぱら「人権擁護」の立場からの立論が多いのだが、財政の側から言えば、地方財政的な配慮がなされなければならないほど生活保護受給者の医療扶助の負担は大きいと言う事もできるだろう。人権を擁護すべきという理想を掲げるのは良いとして、そのために必要な財源の支払いを主権者が拒否している場合どうすべきか、ということも人権擁護論者は考えなければならないだろう。この点への考察なしに人権擁護の議論だけをするのは偏っているし、現実的でもない。それは道徳と政治の混同であり、政治的幼児の意見である。



 違法な窓口規制を行う福祉事務所は、相談係長及び相談員に生活保護実務経験がない、又は乏しい職員を配置する傾向がある。違法な手続をするためには、生活保護制度を理解していない相談員の方が好都合だからである。
 本来、福祉事務所の入り口に立つ相談員には生活保護手続及び他法他施策、疾病・障害についての高度の理解が要求される。相談係長及び相談員は、生活保護実務経験を十分に有する職員が配置されなければならない。
 しかし、生活保護実務経験を十分に有する職員が違法な窓口規制を希望することは少ないので、結果的に相談員に生活保護実務経験のない者が配置されることになりやすい。(p.152)


最初の一文はなるほどと思わされるが、それ以降の論理は一見、整合的に見えるものの幾つか疑問符がつく。

まず、違法な規制をすることが目的であるとは考えにくいということ。むしろ、経験がない職員を配置した結果として、制度についての知識が不足する部分については「彼らの常識」に頼った判断がなされることとなり、結果的に違法行為となる、という側面は否定できないのではないか?

また、人事については職員が希望するかしないかということで決められるわけではないであろう。「生活保護」という枠だけで考えると一見論理的であるが、人事はそれぞれの組織の論理で動く面の方が強いと見るべきではないのか?


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