アヴェスターにはこう書いている?
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杉村宏、岡部卓、布川日佐史 編 『よくわかる公的扶助 低所得者支援と生活保護制度』(その3)

被保護者については保険料の負担能力がないことや、その多くが医療扶助を受けており、他の被保険者の保険料負担や保険財政に与える影響も大きいことなど、自らの保険原理を貫くために国民健康保険法がその第6条で、被保護者を被保険者から除外していることに起因しています。(p.37)


国民健康保険と後期高齢者医療保険は生活保護受給者が適用除外になる根拠は、これらの法律による規定にあり、生活保護法における他法他施策の例外となっている。



 戦時体制下では戦争遂行のために人的資源の保護・育成を目的とした法律が制定されました。……(中略)……。厚生省設置の背景の一つに、徴兵検査で国民の体力低下が明らかになったことから、人的資源の涵養のための行政機構の必要が陸軍により提議されたことがあげられます。……(中略)……。
 このように組織と制度の整備は戦時体制下での人的資源の保護・育成を目的としてすすめられ、社会事業は軍事政策と結びついて展開していくことになります。救護法は先にみたこれらの法の制定に伴いその役割を低下させていきました。そして、軍事優先のため、救護法の対象となるような人々の生活は特に顧みられませんでした。(p.57)


政府が行うことというのはどうしてもこうした傾向を持つことになる。政府というものが本来的に軍事的な目的に基づいて設立されたものであるという側面があるから。



歴史的にいえば、扶養についての公的扶助の扱いは、古くは、扶養を忌避した場合には刑罰を課す扱いでした。(p.75)


今の常識からすると、かなり過酷だな。ただ、現在、かなり普遍的にみられるような核家族は、歴史的には例外的な世帯のあり方であると思われるから、そうした核家族を前提として考えるべきではないのだろう。



しかし扶養義務を履行している扶養義務者はわずか2.4%にしか過ぎません(1997年)から、扶養請求はほとんど効果がないことになります。現行の扶養義務の扱いは実質的には扶養を保護抑制の手段と化しているといっても過言ではありません。(p.75)


一理ある。ただ、扶養義務を履行する扶養義務者が少ないのは、扶養させようとする福祉事務所側から扶養義務者への圧力というか追及が甘いことにも原因があるように思われる。法第77条はほとんど死文化しており、これを実効あるものとするような制度や組織の編成がなされれば、扶養義務を果たす扶養義務者の割合は数倍から10倍程度まで増えるのではないだろうか。現行ではそれを行うだけの組織や制度が整っていない、という捉え方は可能である。



消費税については被保護者にも課税されますが、同税導入時、同率が保護費に上乗せされる措置がとられています。(p.105)


これは知らなかった。



イギリスの社会政策学者であるピート・オルコックによれば、貧困は確かに争われる問題ではあるが、意見の不一致がみられない点が一つあるといいます。それは、貧困に対して「何かがなされなければならない」ということです。貧困の問題化は、その問題を解決するための何らかの社会的対応を必然的に要請するということです。したがって、特定の「貧困観」は、特定の「対貧困政策」を導きうるのです。(p.165)


「貧困」に対して意見の不一致が見られないという指摘は興味深い。これについては「貧困」という言葉は「何かがなされなければならない」という評価を含んでいるからである。



 このように、イギリスの公的扶助制度は、就労可能性あるいは稼働能力の有無によって制度対象を選別しています。こうしたしくみは、稼働能力のある者に対しては「就労(の機会)」を、稼働能力のない者に対しては「福祉」を、という考え方を反映しています。(p.167)


こうした選別は日本の制度でも参考にしうるのではないか。


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