アヴェスターにはこう書いている?
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近藤伸二 『反中vs.親中の台湾』

 政治大学の世論調査は継続性で定評があるが、同大学は1927年に南京で創設された国民党中央党務学校が前身で、蒋介石が初代校長を努めた。(p.23)


近日、台湾を訪問する際、政治大学も訪問予定だが、このスポットは日本のガイドブックには掲載されていないので情報が少なかった。そんなわけで、一応、ちょっとした予備知識としてストックしておく。



 「緑」と「青」が敵対の度を増すにつれ、台湾の南北対立も激化してきた。
 台湾では、北部は亜熱帯、南部は熱帯で、気候や風土が異なる。住民の気質も概して、南部の方が開放的でおおらかだ。そうした元来のちがいに加えて、台湾では戦後、台北に外省人が多く住み着いたため、外省人が多い北部と、本省人が多い南部という「族群」を下敷きにした地域対立に発展した。住民層も北部はサラリーマン、南部は農民が多く、いろんな面で競争意識が強い。(p.42-43)


台湾では南北の相違があることはさまざまな論者が指摘しているが、これもそのひとつ。本省人が北部に多く入ってきたという点はそれなりに重要なポイントの一つと思われる。



 政治家の金銭にまつわるスキャンダルが発覚するたびに、台湾では「緑」と「青」の激しい応酬が繰り広げられる。問題は、事件の再発防止のために法を改正したり、制度を改革したりするなど建設的な方向に議論が向かわず、互いの非難合戦に終始してしまうことである。(p.99)


「二大政党制」では、世論を少しでも味方につけたほうが絶大な権力を手にすることができる。小難しい政策論議よりもこうしたスキャンダルを利用したイメージ操作の方が世論を一方的に味方につけやすいため、政策論議よりもイメージ操作のための非難合戦が行われやすいと見ることができる。日本でも00年代以降、特にこの傾向が強まってきたように思われる。政策論なき非難合戦は、二大政党制と小選挙区制の弊害といえるのではなかろうか。



 台湾の産業構造転換がスムーズに進んだのは、中小企業が主役を演じてきたからでもある。台湾の産業全体の約98%を占める中小企業は、身軽で意思決定が早く、時代の移り変わりに機敏に適応することができた。
 台湾で中小企業が多いのは、大企業のサラリーマンになるより、小さな会社でも自分が「老板(経営者)」になりたがる台湾人気質に加え、外省人が支配する「省籍矛盾」のなか、多くの優秀な本省人は政治家や官僚の道を閉ざされたため、ビジネス界に身を投じたという社会情勢も背景にある。(p.141)


中小企業が多いというのは日本とも共通の構造であると思われ、興味深い。産業の構造転換には中小企業の方が機敏に適応できるという指摘には一応の説得力があるが、実証的には同なのか興味が引かれる。



 台湾は中国との貿易で稼いだ黒字で、他国との貿易赤字を穴埋めしているのが現実なのである。(p.147)


台湾の産業や貿易の構造を考える上で基本となる事実認識と思われる。経済的には中国との関係は密接であらざるを得ない状況になっている。冷戦時代は台湾海峡に東西の壁があったが、それがなくなったことによって、太平洋と中国をつなぐ位置づけとなってきたことが伺える。



 中国の国防費は08年度予算でも4177億6900万元(1元=約15円)で前年実績費17.6%増となり、これで20年連続2ケタの伸びを記録した。中国の国防費には兵器の研究開発費や海外からの武器購入費は含まれておらず、実際は公表額の2~3倍と指摘されるなど不透明さが際立っており、中国に隣接する日本と台湾が軍事面で協力を深めるのは自然の流れとも言える。(p.199)


中国に透明性を求めてもそれを担保する方法がない。必ずしも軍事に限らず、より広く外交面を見た場合、中国政府のエゴ丸出しの姿勢はある意味で非常にわかりやすい。私見ではこのエゴイズムは、国内での情報統制が比較的容易に行えることと対応しているように思われる。日本やアメリカなどでも自国の外交の現実については国内では報道されないことも多いのだが、中国の場合はそれに輪をかけているから。軍事面での透明性などに関しても、国内の情報や言論、報道の自由化を進めるところから着手する(させる)必要があるのではないだろうか。



民主化をリードしてきた民進党は、台湾人意識に訴えて支持を拡大してきたが、台湾人意識が定着するにつれ、それだけでは票を集められなくなった。08年の総統選挙では、人びとは経済発展や生活向上を求め、中国との関係でも安定を望んだ。(p.215)


民進党が台湾人意識に訴えるだけでは支持が得られなくなってきたというのは、現在の台湾の政治状況を分析する上でのひとつの重要な視点だと思われる。


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