アヴェスターにはこう書いている?
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NHK「美の壺」制作班 編 『明治の洋館』

 屋根上の塔やベランダのついた洋館が全国各地に次々と建てられるようになったのは明治の初期。その背景には、明治政府の思惑もあった。当時、安政の不平等条約を一刻も早く改正しようと躍起になっていた政府は、欧米諸国と同レベルの近代的な洋風建築物を早急に建て、日本が欧米諸国と対等の文明国であることを誇示することが、交渉成功には不可欠であると考えたのだ。(p.9)


日本政府が欧米と対等であろうとしたことは確かだろう。そして、洋館を建てるには、欧米の建築技術なども学ばなければならず、立派な洋館があることは、それを学んだということを示す標識にはなる。この傾向は植民地における建築でも同様であり、西澤泰彦の『日本の植民地建築』において、より詳しく且つ適切に指摘されている。



 ただひとつ問題点を挙げるなら、明治初期の日本にはまだ建築家という肩書きを持つ日本人の専門家が存在しなかったこと。
 幸か不幸か、この人材不足こそが明治の洋館ならではの意匠の面白さと味わいを生みだす鍵となったのだ。(p.9)


なかなか面白い着眼点。西洋建築を学んでいない大工や左官などが洋風の建築を見よう見真似で作っていったのだが、従来の日本の建築の技術などをふんだんに用いて、知恵を絞り工夫を凝らして作られていることが見出されるわけだ。本書を読めばその具体的な中身もある程度見えてくる。



 新撰組を題材にした劇場やドラマで必ずといっていいほど登場するのが、池田屋騒動の階段落ちのシーン。傾斜のきついまっすぐな階段からいっきに転げ落ちるのがおなじみの演出だが、西洋建築が入ってくるまで、日本の階段といえば、どれも池田屋と同じようなタイプで、まっすぐな階段、もしくは梯子段だったとか。
 踊り場付きの折れ曲がった階段は、開国により西洋建築とともにもたらされた。(p.23)


確かに言われてみれば、日本の古い建築で踊り場つきの階段というのは、見たことがないかもしれない。日本ではレンガや石造の建築はあまり多くなかったことが関係しているようにも思われるが、中国や中東の古建築はどうだっただろうか?もし、これらの地域にもないとすれば、踊り場つき階段というのは、むしろローカルなスタイルだったのかもしれない。どこで発明されたものなのだろう?

建築を見たり体感したりする中で、いままであまり階段というものに注目したことがなかったので、本書を通して新しい見方、新しい着目点を得たように思う。



 階段が曲がっていると、見る角度が変わり、単調さがなくなる。さらに、視界に入る内部の景観が次々と変化し飽きることがない。階段は、洋館の魅力を余すところなく味わうための舞台装置として機能するのだ。洋館を訪ねたら、ぜひともその醍醐味を、存分に味わってほしい。(p.23)


ヨーロッパの宮殿などに行くと必ずと言ってよいほど壮麗な階段があり、そこでは天井にはフレスコ画のようなものが描かれていたり、豪華なシャンデリアが飾られていたり、手すりや壁面などに装飾が施されていることが多く、観光客はいたるところで写真を撮ったりするのだが、やはり人が写真をとりたくなるということは、訪れる人々に何かを感じさせるものがあるということだ。

景観の良い都市には坂と海があることが多い(例えば、函館、香港、ナポリ、イスタンブールなど)というのが私の経験だが、階段は坂と同じで、場に高低差をつける装置であって、その高低差が空間のダイナミズムを形成するのに一役買っているのではないか。ちなみに、建物内部の景観において、「海」に相当するのが天井や壁面などであろう。



フランス積みのレンガ壁に出会ったら、その建物はかなり古いものと思ってよい。(p.62)


フランス積みというのは、同じ段の中に長手と小口を交互に並べて積むレンガの積み方で、フレミッシュ・ボンドとも言う。なお、「フランス積み」という言葉は誤訳が定着したものだという。

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