アヴェスターにはこう書いている?
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周婉窈 『図説 台湾の歴史』(その3)

このように台湾人日本兵が経験した境遇はそれぞれ異なっていたが、よく生きながらえて帰郷できた人も、また共通する運命を甘受せざるを得なかった――日本のために戦ったという気まずい過去と口にできない万腔の苦しみを抱えながら、新しい社会の中で沈黙を強いられて生きることになったのである。歴史は彼らを嘲笑うかのようであった。想像してほしい。あなたは歳若い身で国家のために出征し、戦場で勇敢に奮闘し、目の前で同胞が一人一人と死んでいく。ところがある日突然戦争が終わり、するとあなたたちはたちまち国籍を失い、次の日からはまったく別の国の国民として生まれ変わる。しかもその新しい国というのが、今まであなたが命がけで戦ってきた敵国〔中国〕なのだ。そんな目にあえば、歴史があなたを笑い者にしているのではないかと思わずにいられないだろう。(p.154-156)


第二次大戦の末期には、台湾の人びとも日本兵として徴用されたということだけでも日本ではあまり知られていないのではないように思うが、少なくとも、こうした人びとがいたということは、「記憶」として留めておくべきであるように思われる。



 前述したように、白色テロは台湾で始まったわけではないし、また台湾人のみを特定の対象としたものでもなく、「共匪」(共産分子)を殲滅し、その影響を除去するのが目標であった。(p.188)


「白色テロ」というのは、何となく「台湾で起こったこと」というイメージがあったので、すっかり引っかかってしまうところだった。(やはり知識が足りない分野については注意しなければならないと思い知らされる。)

白色テロに繋がる強権政治は1948年5月に当時南京にあった国民政府が「動員戡乱時期臨時条款」を公布・施工することで、憲法の条文を一部凍結することができるようにしたことに始まるが、国民党が台湾に逃げ込んできたのは1949年であり、それより前に白色テロの体制は既に準備されていたわけである。



われわれは国民党政権の台湾移転とは、元来は広大な国家を統治するサイズの政府機構が、この微々たる小島に到来したことを意味したことを認識せねばならない。国民党政権は中国大陸で惨敗したとはいえ、その軍隊と警察の情報・治安系統をもって台湾を統治するのには、十二分の余裕があった。(p.188)


説得力がある。

十分な量の暴力装置を持ち込んで台湾に来たが故に、その暴力装置の密度は高く、強権政治を容易に行ない得たということか。



 ここでわれわれが注意しなくてはならないのは、この白色テロの時代、すべての人が同じように白色テロの脅威を感じとっていたわけではないと言うことである。統治集団及びそのイデオロギーを忠実に守ろうとする人びと(若者や学生たち)は、まったく恐怖を感じることなく、悠遊自在に謳歌することができたのだ。このため、国民党教育の枠組みで育った優秀な学生は、大学卒業後、立派に立身出世し、その枠外で起こった具体的な事物や知識に接する機会のなかった人物の場合、とりわけ白色テロ及びそれが「他者」に及ぼした傷痕について、30年経った今でも理解することはないだろう。明瞭に異なる歴史経験は、まったく異なった歴史的記憶を生み出す。「他者」の被害の歴史を知り、それを自己の記憶に組み入れることは、ある種の想像力と、現在の自分を超越する普遍的な理解力を必要とするものである。(p.192)


台湾は理解しようとすると、かなり複雑な社会であるように思われる。

後段の「他者」の被害の歴史を知るための想像力や理解力は、歴史を学び、また語る人間にとって常に必要とされるものであるように思われる。



廈門はすでに陥落し、中共の軍隊はいつでも海峡を渡って攻撃できるという時、アメリカは傍観の態度を決め込んでおり、台湾の情勢は非常に危ういものとなっていた。「運よく」6月に朝鮮戦争が勃発したため、アメリカは急遽、中華民国を支持することを決定し、第7艦隊を台湾防衛のために派遣したのであった。アメリカの軍事保護とそれに伴う物質的援助の下、中華民国の台湾における統治は、急速に安定に向かった。(p.201)


第二次大戦直後の、冷戦へと向かう世界秩序の中でアメリカの果たした強力な役割は、世界中に及んでいる。

台湾も日本と並んで「冷戦構造によって経済的恩恵を得ていた地域」である。


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