アヴェスターにはこう書いている?
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周婉窈 『図説 台湾の歴史』(その2)

 現代の私たちには、故郷の生活方式がこんなにも大きな決定力を持っていたということを想像するのは難しい。しかし、近代以前の社会では、ほとんど人びとが字を知らず、個人の生活技術は父親や隣人から学んだものであり、一生に一種類だけの技術しか学べず、別のものに変えることができなかったということを、理解しておかなければならない。もしある男性が漁撈を学んだならば、それを農耕に変えさせることは非常に困難であった。仮にもしすぐに生活を維持しなければならないならば、「黔驢の技」(自前の拙い技を発揮すること)を使うしかないであろう。当時、現代社会の「就職前教育」のようなものはまったくなかった。識字教育が普及することで、工業・商業に従事する基本労働力が養成され、労働力は空間的な流動性を持つようになったのである。たとえば、現在、A地方でデパートの店員をしていた人は、短期間のうちにB地方で工場の勤務に転ずることが可能である。しかし、前近代社会にはどこへ行っても通用するような普遍的就職前教育はなく、人びとが移住する時は、それぞれ各自の「一芸」を持って移動したのである。(p.68-70)


参考になる。

しかし、こうした事情は「前近代」のような「普通教育」が普及する以前の時代にのみ当てはまるわけではないように思われる。現代であっても、教育水準の低い人にとっては事情はさして変わっていないのではないだろうか。

私が具体的に思い浮かべているのは、土木作業員や建設現場で働いている労働者や交通整理の誘導員などの仕事をしているような人々(私が知っている人びと)である。彼らは「普遍的就職前教育」の機会は与えられてはいたものの、それについて行くことができなかったのか、もしくは、しなかったのか、というような人が多い(もちろん、上記のような職業に従事している人が皆そうだなどと言っているわけではない)。教育を受ける機会自体はあり、実際に形式的に教育を受けはしたものの、修得の度合いは低く(つまり学業の成績は悪く)、それが経歴として現れるために(中卒などの低学歴等なので)就職の際にも不利に働く、という傾向が見られる。これは、私自身がこういった人たちと実際に会い、彼らの経歴等を見てきた中で、強く感じてきたことである。

相対的に高学歴な人とこうした人々の間の職業選択の可能性や、転職等の経歴を見比べてみると、明らかに状況は異なっている。「不利な人々」はあたかもこの引用文で描かれている「前近代」の状況に近いのである。

昨今では公共事業を削減しつつも、介護職(一昔前はIT産業)などで雇用を拡大しようなどという論調も一部にあるようだが、そもそも公共事業の削減で職を失った人たちが、介護やましてやITなどの産業に、大量現象としては転職できるわけがないのである。引用文の指摘は雇用の確保といった現代の政治や社会の問題を考える際にも通じるものだといえる。



基本的に、「内地化」論者は、台湾が中国内地に同化する脈絡を強調し、「土着化」論者は漢人移民のこの台湾へのアイデンティティを強調する。・・・(中略)・・・。興味深いのは、これらの両者が共に台湾社会の変化を認め、その時期を1860年前後、つまり台湾割譲の40年足らず前に起こったとしていることである。(p.92)


1860年前後に台湾社会に大きな変化が起きていたとする共通認識があるようである。この時代は東アジア地域に「ヨーロッパ列強」が進出してきた時期でもある。例えば、アヘン戦争は1840年~1842年だし、アロー戦争は1857年~1860年であった。

このあたりの関係については今は性急に結論は出さないでおくが、興味深い変化が起きていた時期であることは間違いなさそうだ。注目しておきたい。



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