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アヴェスターにはこう書いている?
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高階秀爾 『芸術のパトロンたち』

「歴史画」が、基本的にその物語的内容に対する理解、すなわち文学的・歴史的教養を前提とするのに対し、肖像画や風景画や静物画は、見てすぐわかるということを大きな特色とする。つまりそれは、新たに登場してきた広範な鑑賞者の誰にも受け入れられやすいジャンルと言ってよい。(p.129-130)



20世紀の絵画などを考えると、かなり「わかりにくい」ように思える。そう考えると「わかりやすい」絵画が主流だった時代は意外と短かったと言えるかもしれない。

芸術に対する政府の関与を極端に嫌うアメリカにおいても、1930年代には大がかりな連邦美術計画が実施された。これは、地方都市の銀行、鉄道の駅、郵便局などの公共施設を絵画、彫刻で装飾しようというもので、大恐慌後の不況時代の失業対策であったニュー・ディール政策の一環であったから、まさしく政府のパトロン事業である。1934年から10年間にわたって続けられたこの計画では、3600人の美術家が動員され、1000を越えるアメリカの都市で1万6千点以上の作品が生みだされたという。そのやり方は、作品を買い上げるというのではなく、材料費などの実費は政府もちだが、芸術家たちは月給制で、つまり一時的に公務員として雇われるというものであった。当時すでに名をなしていたステュアート・デイヴィスや国吉康雄などの他、ポロック、デ・クーニング、ゴーキー、ロスコなど、後に戦後アメリカ美術の旗手となる若い画家たちもその恩恵に浴している。(p.202-203、強調は引用者)



この政策が具体的にどの程度の効果があったのかはわからないが、この政策の考え方は重要である。政府の「保護を受けて」生き残った者もしっかり活躍しているのである。近年の日本政府のような新自由主義の政策を採用したとしたら、これらの画家たちは芸術活動を続けることもできず、不況の中、他の就職先も容易に見つからない中で、「ただの失業者」として過ごしたに違いない。

現在の日本で30代くらいのニートが増えているというが、彼らがまさにそうである。日本政府の政策の犠牲者が多く含まれている。

芸術家として(それ以外でも何かの職業に就いて)スキルや経験を積み、人脈を広げていくことと、失業して技能が十分に生かされないこと。果たしてどちらが好ましいと言えるのか?日本政府は新自由主義の政策を方向転換することが必要なことは間違いないように思われる。
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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

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