アヴェスターにはこう書いている?
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藤村里美 東京都写真美術館 監修 『写真の歴史入門 第2部「創造」 モダンエイジの開幕』

 写真はまず絵画と出会い、同じ方向を目指すことで「芸術」としての一歩を進めることになったのである。(p.17)


19世紀末には写真にとって絵画が規範とされ、絵画的な表現が追求された(ピクトリアリズム)。20世紀初頭頃には社会的にも図像的にもかなり近づいていた。(印象派絵画とも相互に影響をしていたりした。)

写真が絵画に近づいてきた頃には、次第に絵画から自立した独自の表現が追及される動きが胎動してくる。第一次世界大戦の前後で流れが変わる。(戦争による人的ネットワークの分断もその背景要因である。)ピクトリアリズムは第一次世界大戦で概ね終焉し、それ以後は、ストレートフォトとニューヴィジョン(バウハウス、ダダ、シュルレアリスム)の流れとして本書では解説される。

ストレートフォトは肉眼では捉えられず、あるいは捉えにくいものを写真だからこそ捉えられるものを捉えるということで写真の独自性を追求し、ニューヴィジョンは他の芸術分野での革新の動きの中で写真が取り込まれたものと思われる。ここでは「ただの写実」とは異なる新たな表現が創造され、追求された。



同時多発的に世界のさまざまな地域で変化が起きていた。
 変革の原因のひとつは技術的な進歩である。レントゲン(X線)写真、赤外線写真などは、不可視の光線がとらえる世界を可視化した。また二重露光、フォトモンタージュ、ソラリゼーションなど、現実にはないものを映像化することを可能にした。そして小型カメラの登場、高速シャッターなどの開発は、写真はあらたまって撮るものという概念を覆した。スナップショットの登場は、街や人の何気ない光景が美しいものであると、あらためて知らしめたのである。
 工業的な進歩は写真にかかわるものだけではなかった。機械化時代の到来は人々の生活を変え、経済を変え、社会状況を変えていった。第一次世界大戦で破壊された古い街は、都市へと再生し、そこには車が走り、飛行機が飛んだ。経済的に余裕のある層が増えカメラを持つ人々も増大した。そして工業化社会によってもたらされた高層ビル、工場、機械は写真家たちの創作意欲を刺激し、新しい写真の格好のモチーフとなった。(p.56-57)


1930年前後のことである。

スナップショットがようやく登場したのもこの頃らしい。デジカメの登場により急速に写真が身近なものになっている現在は、この時代の状況が拡大再生産されたようなところがある。

また、この時代には高層ビルや工場などが「新しい被写体・モチーフ」であったというのは、なるほどと思わされた。今まで何回か写真を展示する美術展を見たことがあるが、「これのどこが革新的なの?芸術なの?」と思ってしまうような作品に出会ったことが何度もある。私には普通に高層ビルを見上げて撮影したり、複数の角度から撮影しただけのものにしか見えなかったからである。そして、実際にそれだけのものだと私は今でも思っているのだが、上記の文章によって、その意味するところが理解できた気がする。すなわち、現在の視点から見ると別に何ということはないものであっても、それら(高層ビルや工場など)は、その時代以前には存在しなかった目新しいものだったのである。

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