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アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
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ジャン・ジャンペル 『カテドラルを建てた人びと』

1127年聖ベルナールはシュジェールにあてて一通の手紙を送った。彼はシュジェールがその生活態度を改めたことに賛辞を呈したのち、宮宰(セネシャル)すなわち首相に任命されていた修道士エチエンヌ・ド・ギャルランドが、国王の恩寵を失うよう切望している。これはかなり驚くべき内容の手紙である。その年の末にエチエンヌ・ド・ギャルランドは職を免ぜられ、はじめて聖ベルナールはフランス王と直接かつ公式の関係をもてるようになった。気質は大変違っているが、この日から聖ベルナールとシュジェールとは親友となった。前者は法王庁の陰の代表者、後者はフランス王国の最高の政治家であり、対立しては損なことを両者は理解したのである。(p.30)


名に「聖」とつく聖人たちのうち、聖ベルナール(ベルナルドゥス)ほど胡散臭い奴はいない。これは私が最近、いわゆる中世ヨーロッパ、特にフランスについて調べていて感じることである。このシュジェールとのやり取りもそうした胡散臭さを感じさせる強烈な一例である。

古代やイスラムやビザンチンの建築家は、強すぎる太陽光線を室内に入れないよう気を配った。建築家たちはこの時代にいたるまで、ブルゴーニュやイール・ド・フランスのごとき北方の地域に、大建築物を作る必要に迫られたことはなかったのである。(p.35)


最後の一文は特に妥当である。13世紀頃までは、アルプス以北の「ヨーロッパ」のような貧しい地域では大建築など建てる余地はなかったのである。

しかしながら「趣味」の名においておこなわれた18世紀のこの破壊行為を反省するとき、現代の人びとは古建築について18世紀と同じような誤りを犯してはいないだろうかという疑問を禁じえない。
 20世紀の美術愛好家が突如12世紀の世界に立ち戻り、どぎついとはいわぬまでも強い色調に彩色された彫刻に飾られるサン・ドニ教会堂の正面を眺めたら仰天して、「何たる悪趣味!」と叫ぶであろうことは疑う余地がない。
 人びとを失望させないために20世紀の修理工事では、古建築を石材の生地のままにしておくこととしている。しかしこうすることによってわれわれは、クリュニー修道会やシュジェールや大聖堂を立てた人びとの意図を確実に裏切っているのである。(p.45)


フランスの教会建築の破壊というとき、決まって出てくるのが大革命(フランス革命)である。しかし、本書の著者はその前のバロック時代における改装や改築もまた「破壊」であり、問題であるとする。この見方は興味深い。そして、そこから翻って現代のカテドラルのあり方が問われている。

私見では、13世紀と同じ彩色を施すとしても、それは同じ素材によってなされなければならないと考える。しかし、それが可能なのかどうか、また、それが例えば保存という観点から見ても望ましいのかどうか、私にはわからない。

ただ、この本の原著は1958年に出されたもので、2006年の現代とはやや異なった状況にあるわけだが、2006年現在で考えると、むしろ、建築などを「世界遺産」などとして宣伝し、観光資源などとして利用することが、本当にその建築遺産の「保護」と「活用」という観点から見て最適なのかどうか、疑問に思うことがある。確かに世界遺産に指定されることで国連から保護のための資金なども出るのだろうが、やたらと下手に観光化してしまうことに対して「本当にそれがベストの選択なのか?」と疑問を感じることがある。

まぁ、この点に関しては、世界遺産の指定は特に建築物などより自然遺産の方が問題なのだろうけれども。

しかしながら聖遺物崇拝は濫用に陥り、根拠の怪しいものまで崇拝されるにいたった。そこでローマ教会は1215年のラテラノ宗教会議により特別な許可を受けてないものの崇拝を禁止した。
 たとえばオータンの会計報告でも、その後はこの方法による資金調達(引用者注;聖遺物を各地に巡回させて建築資金を調達する方法)が見当たらないように、聖遺物崇拝は衰えていった。(p.89)


これ以前の「聖遺物崇拝」がいかに怪しいものだったかがよくわかる。また、13世紀初頭に既に、正当な聖遺物崇拝とそうでないものを区別する措置がとられていることに、少し驚いた。意外と早い対応だからである。まぁ、それほど濫用が酷かったということだろうけれども…。

また、聖遺物と大教会堂建築との密接な関係という点でも、この件は重要である。聖遺物崇拝、ロマネスクやゴシックの教会堂、クリュニー修道院、十字軍、アルビジョワ十字軍、これら一連のものは、相互に密接にかかわっている。
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