アヴェスターにはこう書いている?
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イマニュエル・ウォーラーステイン 『ヨーロッパ的普遍主義 近代世界システムにおける構造的暴力と権力の修辞学』(その2)

 ゲームは以下のように展開する。生産物に対して十分な市場があるうちは、雇用者は、生産拠点を移動させず、組織の混乱を避けることを好み、必要とあらば、より高い報酬を求める労働者の要求に応じもする。同時にそれは、労働者の組織化をさらに進めることにもなる。しかし、ひとたび生産物に対して市場が狭くなってくると、雇用者側に、人件費を削減する切迫した同期が高まってくる。〔労働者の要求を〕抑圧することが戦術として失敗すれば、雇用者には、もっと人件費の低い地域へ、生産工程を移転させることを考える可能性が出てくる。
 雇用者は、低賃金労働を進んで受け入れる農村労働者がプールされているところであれば、どこであろうと、そのような生産拠点の移転先とすることができる。(p.114)


概ね1970年頃以降の資本移動と金融のグローバルな自由化はこうした中で進んできた。70年代以降経済が伸びたのはNIEsであった。冷戦があったために世界システムの中核にある資本は東側に流れ込むことができず、比較的良質で安価な労働力がある地域に資本が流入したためである。冷戦終結により、資本移動においても政治の壁が取り払われたため、特に90年代以降、東欧諸国やBRICsといった国々が急速に成長し始めた。ロシアは資源を売ることの効果が大きいだろうだろうし、99年以前は成長率も低いから、やや類型的には異なるかもしれないが、東欧や中国、インドなどはウォーラーステインの指摘は概ね当たっている。

ウォーラーステインの分析では、いつも生産と流通だけが分析の俎上に上り、金融が抜け落ちているのが欠点であるが、それでも大まかな流れは彼が描いているように見ることができるだろう。



 通常、大学は、中世ヨーロッパに発達した制度として語られる。これは話としてはよくできており、大学の儀式でガウンなぞを着て格好をつけたりするには結構なのだが、実際のところは、神話にすぎない。中世ヨーロッパの大学は、カトリック教会の聖職者機関であり、近代世界システムの始まりにおいて、本質的には消滅したものである。十六世紀から十八世紀にかけて、名目だけが生き延びていたにすぎない。というのも、この時期の大学では、ほとんど活動らしい活動も行われていなかったからである。当時の知の生産および再生産の中心的な場を、大学が占めていなかったのはまちがいない。大学の再出現と変容は、十九世紀の半ばから――その過程は十八世紀末から始まってはいたが――だといえよう。近代の大学が中世ヨーロッパの大学と異なるのは、近代の大学が、常勤有給の教授団を擁し、教育に関するなんらかの集権的な意思決定機構をそなえ、(大半が)全日制の学生が通う官僚組織であることである。(p.119-120)


やや割り切りすぎだが概ね妥当な認識である。

大学が19世紀に大きく変容したのは事実であり、私もある程度把握しているつもりだが、16~18世紀の大学について「ほとんど活動らしい活動も行われていなかった」と断しているのが面白い。19世紀以降の大学と比べると確かにこの時期の大学はそれほど活動しているわけではない。ただ、何も成果がないかのような書き方はやや行きすぎだろう。

例えば、ガリレオはパドヴァ大学で教授をしている頃に落体についての研究を行っているし、大学での教授職等に就いている時に業績を残していない人たちでも、若い時期には大学での教育を受けている。コペルニクス、ケプラー、ジョルダノ・ブルーノ、デカルト、フランシス・ベーコン、ニュートンなどいずれもそうである。いわゆる近代科学とは異なるアリストテレスの学説に基づく知識等ではあるが、それが無意味だったとは必ずしもいえない。

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