アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

イマニュエル・ウォーラーステイン 『ヨーロッパ的普遍主義 近代世界システムにおける構造的暴力と権力の修辞学』(その1)

大半の政府は、いわゆる現実主義的な国家間関係観に、その対外政策を基礎づけており、人権への関心を反映したといいうるような政府間行動はほとんどまったくとられていない。もっとも、宣言への違反だという訴えは、ある政府による別の政府に対する非難のプロパガンダとして、当たり前のように用いられてはきたが。
 政府間レベルにおいて人権問題への関心が実質的に不在であったために、いわゆる非政府組織(NGO)が多数現れて、その不在を埋めることになった。(p.40-41)


社会的に必要があるが政府がその要求を満たしえないところでこそ、NGOの活動の余地が生じる。

MSNエンカルタのNGOの項目によると、現在の日本で中核となって活動している幾つかのNGOが生まれたのは1960年代であり、その後、NGOの数は急速に増えていったが、とくに1980年前後、ベトナムのカンボジア侵攻によって大量に発生したカンボジア難民救済のために多くのNGOが誕生したという。

やはりここでも人道的な支援のために増えたことが読み取れる。こうした支援は権力を常に伴う政府が行うよりも、むしろNGOの方が適任であるというのが私の考えである。ただ、財政的な力がNGOには弱いため、NGOが政府を動かすことも重要だろうし、案件によっては財政力や権力を有する政府の方が適した任務もあるかもしれない。

もっとも、NGOが誕生しうるためには、そのための社会的な素地も必要であるということにはもう少し目を向ける必要があるように思われる。ウォーラーステインの叙述ではあたかも無から自生するかのような印象を受けてしまうからである。



彼の考えでは、ポストモダニストとは、知的分析の追求を、したがってまた政治的変革の追及を放棄した者たちであった。(p.94)


ポストモダニストが知的分析の追求を放棄した者であるという指摘は概ね妥当であろう。これは反知性主義などとも言われる傾向を言っているのであろう。

ポストモダニストは政治的変革の追求も放棄したとされている。これは要するに、ポストモダニストが現実の分析を行わず、新しい華やかな言葉を考え出すことにばかり精力を注いでこなかったため、現実世界における問題点とその解決策、解決の方向性などに真剣に取り組まなかったということであろう。



二項対立、特に普遍主義(それは、支配するものの側の諸要素に具現化されていると主張される)と個別主義(それは、ことごとく支配されているものの側に帰属せしめられている)のあいだの二項対立を実体化したのは、近代世界システムにほかならない。(p.103)


普遍主義と個別主義に支配と被支配との関係を読み取っているのは面白い。

社会科学の分野の中で経済学がより普遍主義的な傾向が強いのは、政府や権力者にとってそれだけ利用価値が大きかったということと関係があるように思われる。



 近代世界には、二つの競合する普遍主義の様式があった。オリエンタリズムは、そのひとつの様式――個別性を本質主義的にとらえる認識の様式――である。その起源は、ある種の人文主義にある。その普遍主義としての特質は、特定の〔一般的〕価値にあるのではなく、個別主義的本質の永遠不変性にあった。もうひとつの普遍主義の様式は、その反対である。すなわち科学的普遍主義がそれであるが、これはあらゆる時点において、あらゆる現象を支配する客観的法則の存在を主張するものである。(p.105-106)


オリエンタリズムの特徴づけとして非常に的を射ている。例えば、「国民性」なるものが存在すると前提して語られる議論は、オリエンタリズムの様態の一つである。

また、ウォーラーステインの本書における議論で興味深いのは、オリエンタリズムと科学的普遍主義を歴史の展開の中で以前は前者が優位にあったが、それが後者に取って代わられたとする議論である。その過程で「二つの文化」の棲み分けがなされていったとするが、これは大まかに見ると、よくできた図式であるように思われる。

スポンサーサイト

テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://zarathustra.blog55.fc2.com/tb.php/510-a7939812
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)