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アヴェスターにはこう書いている?
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R.マーク 『光と風と構造――建築デザインと構造のミステリー』

ドームの基底部が中空でなければ、ハギア・ソフィアのドームはパンテオンと同様に子午線方向にきれつを起こし易いことが、今でははっきりしている。したがってハギア・ソフィアの窓は、きれつを避けるための慎重な措置であると同時に、劇的な効果をもつ光源なのである。(p.79)



ここで話題になっているのは、イスタンブールにあるアヤソフィアのドームの端についている一連の窓のことである。あれにも構造上の効果があるとは少しばかり驚いた。



シャルトル以前のヴォールトは、高窓台の下の堅固な壁体を起点にした。少数の例外はあるが、正方形平面の六分ヴォールト(図4.17)は、パリとブールジュを含めて大規模な教会堂の主要な部分に用いられた。シャルトル以降は、明らかにシャルトルに倣って、高大な堂内空間を覆う長方形平面の四分ヴォールトを、高窓台のずっと上から立ち上げるように一変した(図4.14と図4.17を比較せよ)。飛梁で支持される高期ゴシックの高窓層の高大化と、六分ヴォールトから四分ヴォールトへの移行との間の因果関係は明白だが、ゴシック建築の文献は、この点についてややあいまいであった。(p.108)


ゴシック建築を見る際の視点である。シャルトル以前は六分ヴォールトだったものが、シャルトル以降は四分ヴォールト2つが組み合わされるような形になったわけだ。大きなクリアストーリー→フライングバットレスの支持位置を変更→天上のヴォールト架構の変化(六分→四分×2)という因果的な繋がりがあるということなのだろう。

本文でこの後に展開される、四分ヴォールトの方が建築途中で東西方向に崩壊しにくいという議論もなかなか説得力がある。構造を理解していると建築を見る視点は充実する。私は門外漢なので、まだそこまで行けないが、そうした面白さをロバート・マークの著書は比較的分かりやすく示しているのがよい。



ロバート・ブランナーによれば、シャルトルのデザインは別の教会堂のどの部分にも再現できるが、ブールジュのそれは全体としてでなければ採用できないために、シャルトルが優位を占めたとされる。しかし今やこの推論に次の事実を加えることができる。すなわちブールジュのように大規模な教会堂では、天井に六分ヴォールトを架けると高窓を拡大できないという事実である。それに対してシャルトルのデザインは柔軟であり、とりわけ四分ヴォールトは順応性に富むので、高窓を大きくしたいと願うゴシックの人びとを十分満足させることができたのである。(p.112)


なるほど。急傾斜のフライングバットレスの性能では極めて優れていたブールジュ大聖堂ではあるが、天井の構造ではシャルトルの方が柔軟だというわけだ。これらが組み合わされていれば、ゴシック建築は総体として、構造的により完成度の高いものになっていたのかもしれない。

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