アヴェスターにはこう書いている?
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ディドロ 『絵画について』
「マニエールについて」より

 自らの行動に打ち込んでいないひとがマニエール味を帯びていないことは、稀である。
 きみにむかって、どうだい、わたしはよく泣いているだろう、よく怒っているだろう、よく苦しんでいるじゃないか、と言っているように見えるひとは、みな、うわべだけでありマニエールを含んでいる。(p.185)


行為をしながら、行為そのものに集中しておらず、反省的な観察を同時に行って(しまって)いる場合、行為には反省による修正が加わろうとする分だけ、行為はぎこちなくなる。



佐々木健一氏による解説より。

価値の根底が一新され、どのような未来が望ましいのかという構想から始めることになったとき、その精神の現れがこの知の総合性の要求であり、そこには普通に知識と目されるものだけでなく、技術や藝術、さらには職人仕事までが含まれる。この時代のフランスで「哲学者」と呼ばれたのは、このような総合的な地平で地を求めた人びとである。
  この時代は近代的な藝術概念の確立期に相当する。近代的な藝術概念とは、文学と造型藝術(絵画、彫刻、建築)と音楽をひとまとまりのものとしてくくる考えのことである。この考え方は、どの時代にも、またどの文化圏においても取られていた普遍的なものではない。十八世紀以前のartにはliberal arts(中世的には「自由学藝」、近代的には教養科目)のような学問が含まれていた、というよりも、それが中核をなしていた。ダランベールもまた、「藝術beaux-arts」をこのartes liberauxの一部分と見做しているように、この概念は、ルネサンス以来、現実の変化に対応して変貌しつつある現役のものだった。他方、少し前の時期のarts liberaux概念には、諸藝術の他に兵法や航海術などが含まれ、beaux-artsの方もまた光学や力学などを含むという具合であった。このような状況を見れば、この時期に近代的な藝術概念が確立し、それが現在にまで続いているということが、いかに画期的なことであったかが分かる。この時代の変化は、ベーコンとダランベールの知の体系を比較するだけでも、見てとることができる。ベーコンが想像力の仕事として文学(「詩」)しか考えていなかったのに対して、ダランベールの考えていたのは藝術である。この歴史的変化において顕著なのは、造形藝術の社会的な地位の上昇である。中世において「手の仕事」(つまり肉体労働)と見られ、言わば卑賤な仕事として扱われていた状況に対して、ルネサンスの天才的な藝術家たちがいかに烈しく抵抗したかは、よく知られている。近代的な藝術概念の核心は、絵画や彫刻を「頭の仕事」として、詩と同じ列に格上げすることにあった。(p.232-233)


岩波文庫の佐々木氏による訳は解説や訳注がたいへん優れていて参考になるのだが、このあたりも興味深い箇所であった。

最初の段落における指摘は、18世紀のみならず、現代にも通じそうである。現代もまた「どのような未来が望ましいのかという構想」が必要な時代であり、「知の総合性」が要求されている時代であるように思われる。しかし、もっと大きな問題は、問題を把握したとしても、その知が把握した方策を実行する力を持つ現実的な主体がいないことであるようにも思われるが。

近代的な藝術概念の確立したのは18世紀であり、それは普遍的なものではないとする見解も興味深い。私の場合、科学史で近代的な「科学」の概念が成立したのはそれほど古いことではないということは理解していたが、ここでの指摘は、それと連動する部分があるように思われる。

造形芸術の地位の向上は、この時代のヨーロッパで工業生産が次第に経済的な重要度を増してきたことと無関係ではないであろう。村上陽一郎は、18世紀に科学史における「聖俗革命」が起き、「科学」と宗教的な世界観とが分離したとするが、これも社会におけるいわゆる「市民層」の地位上昇を反映していると見ることができ、このことと工業や手仕事が重要視されることとは相関的である。

このあたりの理解については、今後、もう少し理解を深めていきたいと思う。つまり、私個人としては、美術史や美学史にはまだ十分な力を割いていないので、これらと他の領域とを結び付けていくという課題を得た。

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