アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

西和夫 『京都で「建築」に出会う』

 桂離宮の中心となる建物は古書院・中書院・楽器の間・新御殿である。四つの建物が個別に建つのではなく、少しずつ後退しながら連続する。・・・(中略)・・・。
 四つの建物を少しずつずらしながら接続した形態を、雁が飛ぶ隊形に似ることから雁行形と呼ぶ。建物と建物をそのままつなげたのでは、庭が見える部屋が少なくなり、かといって離して建て、廊下でつなぐと、連絡の具合がよくない。雁行形にするのは庭を見るのに都合のよい配置である。(p.31)


これによると、庭と建物との関係が建物間の配置を決める一つの要素となっている。



 数奇屋にしろ茶室にしろ、遊び心がないと良さはわからない。そしてもう一つ、時代の心、これも必要だ。時代の心とは、昔々のある時代へ、時間を超えて遡る能力だ。その時代、人々はどんな住宅に住み、どんな生活をしていたのか、それを考えることのできる心が必要なのだ。
 われわれは、現代の感覚でしか昔のことを考えられない。しかし、これは危険である。たとえば明るさがそうだ。夜は、現代では想像もできぬほど暗かった。だから、わずかの明りが有効だった。明り、光、これを現代人以上に大切にした。これは夜だけの問題ではない。茶室がなぜ光を大切にするのか。それは、光が客人に対するごちそうだったからだ。わずかな光を大切にし、光の扱いに工夫を凝らし、光のおもしろさを楽しんだ。これがそのまま遊び心につながる。
 数奇屋も茶室も、そうした遊び心に支えられて成立した。(p.58)


ここで言う「時代の心」が大事だということには私も同意見である。これは建築の鑑賞に限らず、歴史的な過去に遡るときに常に必要なものである。例えば、古典的なテクスト(哲学にせよ文学にせよ科学にせよ)を読む際や、美術品を鑑賞する際にも必要な考え方である。

ただ、この「時代の心」を使う際に注意しなければならないのは、想像力だけを逞しくしても、この心によって考え、感じたことにはならないということであろう。その時代に遡るためには、遡るために必要な知識もなければならない。知識だけに偏ってもダメだが、想像力だけに頼ってもダメなのであって、このバランスの中で感覚を研ぎ澄ます必要があるという点が、こうした歴史的なものの鑑賞の難しいところではなかろうか。

また、引用文後半の、光がごちそうであったとする表現はおもしろい。これは日本の建築に限らず、例えば、ゴシック建築などにも適用できそうな表現である。



 飛雲閣は三階建てのいわゆる楼閣建築である。超高層ビルがいくつも建つ現代では三階は少しも珍しくないが、日本では二階以上の建築は珍しかった。五重塔や三重塔があるではないか、といわれそうだが、これは本来、人が登るためのものではない。城の天守閣も、望楼、つまり物見の櫓から発展したもので、戦闘用の特殊建築である。・・・(中略)・・・。
 とにかく楼閣建築は、金閣や銀閣のような例を除くと、日本では大変珍しい。日本建築は、空間がたっぷり欲しいとき、横に広げるだけで縦に積み重ねることはしなかった。(p.113)


この意味では、金閣や日本の城の天守閣などは「日本を代表する建築」とは言えなさそうである。

日本の建築が縦に積み上げなかった理由の一つはやはり地震が多いという風土が関係していそうである。



町屋再生に力を注ぐ当事者としては、残すことを考えるよりむしろ住み続けることを考えている。文化財として残すということは外側からの考えにすぎない。自分たちが住みやすいように折合いをつけていく。残すのではなく住み続ける。つまり生活の一部だという。学者さんたちが調査に来て、復原は可能です、などといわれるが、復原の問題ではないのですと言われてしまった。建築史を専門としている私としては耳の痛い話であった。(p.208)


古都を「保存」していく際などに参考になる考え方。

ただ、「文化財として残す」ということも無意味ではない。「住み続ける」ことによって、住宅や街は有機的に変化していくだろうが、変化を重ねていくうちに、過去の知恵が捨てられていくことがある。こうした知恵を保存しておくことが、「住み続ける」際にもヒントを与えることがありうるからである。

ただ、いろいろな土地を観光をしてきて感じるのは、やはり「生きている土地」の方が魅力的だということであり、人々が「住み続ける」ということの重要性はこうした実感とも附合する。

スポンサーサイト

テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://zarathustra.blog55.fc2.com/tb.php/478-1612b705
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)