FC2ブログ
アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

高草茂 『プロヴァンス古城物語 南仏の秘められた歴史』

自らも死の直前に洗礼を受けてキリスト教に帰依したコンステンティヌス帝が、キリスト教を公認し、ローマ帝国の首都をビザンティウムに移してそこをコンスタンティノポリスと改称し、330年に新たな都として開設したため、これよりのちローマは完全に首都の座から後退することになった。それ故、ガリアやイベリア半島方面への統治支配を維持し、さらに強化することを目的として、コンスタンティヌス帝はアルルにその任を負わせたのである。(p.48、強調は引用者)


私は、近々、フランスに旅行する予定であり、アルルにも訪問するつもりなのだが、この認識を得たのは有意義であった。こうしたことが「コンスタンティヌスの共同浴場」がアルルに残っており、他にもローマ帝国時代の遺産がアルルに多く残っていることの一つの理由なのだろう。

ただ、結果的に見ると上記のようなコンスタンティヌスのこの思惑は十分に成功しなかったとは言える。当時は文化的にも技術的にも経済的にも力が相対的に弱かった西方地域(現在の西ヨーロッパ)は、短期間のうちに衰退し、ローマ以外の政治勢力が入り乱れることになったからである。

ここ(引用者注;サンティアーゴ・デ・コンポステーラ)が聖地とされてキリスト教信者たちを惹きつけたきっかけは、エルサレムの地が異教徒に支配され、東方の聖地への巡礼が不可能となったことに由来する。
 東方の聖地奪還は西ヨーロッパを中心とするキリスト教徒にとっての至上命題となり、前記のように1095年に開催されたクレルモン・フェラン公会議(クレルモン・フェランは、パリの南方400キロ程の、オーヴェルニュ地方の町)での教皇ウルバヌス二世による宣布に従って十字軍が発進する。この西の聖地サンティアーゴ・デ・コンポステーラに巡礼者らが向かうことになり、フランク王国各地ほかゲルマーニア、イングランドから幾筋もの巡礼路が切り拓かれたのであった。南フランスへのカタリ派の浸透は、こうした巡礼者たちの道をおびやかすものとみなされ、この地の教会活動を強化して、カトリックの信者たちを「異端」に走らせないように教皇から派遣された特使が、1208年に殺害されたのである。(p.72)



巡礼、ロマネスク教会堂、十字軍、修道院、アルビジョワ十字軍(カタリ派討伐)…。12世紀におけるこうしたものは一連の繋がりを持っているらしいと今回の旅の準備をしていて気づいたのだが、上記のような説明を随所で発見することでかなり整理されてきた。

遥か東方からトュルク系遊牧民が西進してきたことによって、分裂状態になっていたアッバース朝はさらに力をそがれ、1076年にはエルサレムはセルジューク朝の勢力下に入った。そうした勢力の圧力を受けて、後ウマイヤ朝などイベリア半島へのムスリムの移動も(恐らく)起こり、イベリア半島ではムスリム勢力の力は相対的に強まった。

これにより東方(レヴァント)と西方(イベリア半島)から挟み撃ちにされる形になったローマ教皇庁やフランス周辺の貴族勢力は、キリスト教を統合的な理念として活用しつつ、これらの脅威に立ち向かおうとしたようだ。その際に域内の理念的統一を促進する一つの手段として(当時、フランスで力をつけていた政治勢力としてのクリュニー修道院の力を使いつつ)巡礼を奨励し、失われたエルサレムに代わってコンポステーラを準備し、そこに至る巡礼炉を積極的に整備した(ロマネスクの巡礼路教会が次々建設される)。

理念的な統一という観点と巡礼路をローマ教皇庁の勢力下に置くという観点から、カタリ派討伐が必要となった。こうして「ローマ・カトリック的キリスト教世界」を理念的に統一すると同時に、その世界の政治経済的な統合の度合いを高めることが、対外的に十字軍という形で侵略戦争を行うことを可能にした面があるのではないか。

以上は、個人的な仮説であるが、相互の関連性はしだいに見えてきた感じがしている。
スポンサーサイト

テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://zarathustra.blog55.fc2.com/tb.php/47-9ee75a3a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)