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アヴェスターにはこう書いている?
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小池寿子、芸術新潮編集部 『一日で鑑賞するルーヴル美術館』

今日残っているギリシア陶器の多くは、かつてのエトルリアの土地から出土したものであり、彼らが積極的にギリシア陶器を買い入れた顧客であったことがわかる。(p.42)


なるほど。いわば、この延長上にローマの美術がギリシアのものを模倣したり取り入れたりする動きが乗ってくるわけだ。また、もしかしたら、ギリシアとローマに「ある程度の」連続性が見られるとすれば、逆に言えば、「イタリア半島の人々に好まれるデザインのものを輸出していたため」その後のローマの美術はギリシア的なものを取り入れやすかったという見方もできない。

まぁ、この辺は推測だが、興味深い事実ではある。

神秘主義の流れを引いた北方では、中世後期、キリストの受難を我がものとする「同感受難」という考えが広まっていった。キリストに倣って自身の苦しみを是とする。日常が厳しかったからこそ、そうした思想の温床ができあがっていったのだろう。教会の権威が揺らぎ、ペストをはじめとする疫病が蔓延し、百年戦争(1337~1453)に疲弊した中世後期独特の精神風土が、そこにはある。(p.61、強調は引用者)



同感受難という考え方が流布していたことは、エミール・マールの『中世末期の図像学』で示されたような情感に訴えるような図像の変化と一致している。

 それにしても、なぜトランジなのか?干からび、皺ばみ、あるいは腐敗して蛆虫がはいずるような死後の肉体像がどうして好まれたのか?
 肉体の腐敗は古来、恐怖の対象であり、キリスト教では罪の証とされた。しかし罪の証は、また告解の証ともなった。すなわち、無残な死に姿であればあるほど、故人は生前罪を犯したのであり、それを半恒久的な石の像として刻ませることは、罪を半恒久的に告白していることになる。告解すれば罪は軽くなる、というのもカトリックの教えだ。しかも、無残な墓像を前に哀れんで祈ってくれる人が多ければ多いほど、故人の罪はさらに軽くなるし、祈る人自身の罪も減少する。トランジ墓像にはこのように免罪の効果もあった。だから、免罪符の発行がルターによって否定されたとき、プロテスタントのみならず、カトリックにおけるトランジ像もしだいに変貌を強いられてゆく。(p.67、強調は引用者)



16世紀頃に醜い死後の肉体の姿を墓像として用いることが多かったことに対する説明である。非常に納得した。また、こうした図像は上記のような中世末期の情感に訴える図像の一つでもあっただろう。

こうしたことを一つ一つ理解した上で、実際の美術館を巡れば、何の予備知識もなしに行くのに比べると遥かに多くの収穫をもたらしてくれると私は思っている。

何の予備知識も下調べもせずに、「フラッ」と行くことは誰にでもできるが「ただ行っただけ」に終わることが多いと見ている。見てきたものの説明を求めても「よくわからないけど、すごかった」で終わり。そうした行為を見るにつけ、なんと「もったいない」ことかと思う。)

本書はこの点で、なかなかコンパクトに分かりやすく、かつ、美術史の基本的な時期区分や概念などを網羅している点で優れている。旅行でルーヴルを観賞するためのガイドブックとしては、なかなかよいと思う。

それに、誰でも知っていて、どの本でも紹介しているような作品ではなく、「美術史的には有名だけれども、一般にはちょっとだけマニアックな作品」を取り上げている点もよい。特に初めてでなく2度目、3度目の訪問を考えている人にとってはありがたい。

私も、近々、5年ぶりくらいに訪問しようと思っているが、ルーヴルで働く人の言葉で次のものは参考になった。

こんどはぜひ9月に取材にきてください。空気がすんでいて光もきれいで、ピラミッドだけでなく、一年中でいちばんパリの街が美しくみえるのが、9月の朝だから(p.84)



私の訪問予定は9月なので朝のルーヴル、朝のパリの景観にも着目したい
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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

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