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アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
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山田文比古 『フランスの外交力――自主独立の伝統と戦略』

世に起こることの流れを変えなければならない。そのためには、人々の精神を変えなければならない。言葉のみでは不十分である。本質に関わる行動を直ちに起こすことによって初めて、現在の停滞状態を変えることができるである。……現在与えられている条件の下でドイツ問題を解決しようとしてはならない。条件そのものを変えていかなければならないのである。……シューマンの提案(欧州石炭鉄鋼共同体構想)は、革命を起こすか、何も起こさないかの、いずれかであった。その基本原理は、限られた分野ではあったが、決定的な分野で、(国家)主権を移譲することにあった」(p.86)


これは現在のEUにつながる組織、欧州石炭鉄鋼共同体の構想を主導し、「ヨーロッパの父」と呼ばれる人の一人、ジャン・モネの言葉の孫引きである。

ここでの「ドイツ問題」を中国や朝鮮半島との問題に置き換えれば、日本にも似たようなことが言えそうである。

市民レベルでできることは、それほど「劇的なこと」は少ないだろうが、次のような方向性が模索されるべきであろう。

 エリゼ条約以降、継続して推進されてきた両国間の青少年交流は、数百万人規模にも及び、草の根レベルでの両国国民の相互理解は大きな輪となって広がっていった。その結果、戦争の記憶による「わだかまり」も徐々に消え、未来志向の建設的な関係を構築していこうとの気運は、若い世代を中心に国民の幅広い層に定着してきたと言える。1994年7月14日に行われたフランス革命記念日恒例の軍事パレードに、欧州軍団の主力部隊としてドイツ軍将兵が招かれ、パリ市民の喝采の下にシャンゼリゼ通りを行進したことは、時代の変化を物語るものであった。(p.104、強調は引用者)



 自主独立外交には、それなりの気概と覚悟が必要である。外交は一日にして成らず。フランスの例は、そのことを教えてくれる。
・・・(中略)・・・
外交には足場(及び勢力圏)が不可欠である。孤高の外交でも、文字どおり孤立無援では成り立ち得ない。フランスは、ドイツとの和解を通じてヨーロッパを足場と定め、アフリカを勢力下に置くことによって、連帯の絆を固めるとともに、外交的影響力の維持・拡大を図ってきた。日本も、米国との同盟を主軸としつつ、アジア・太平洋地域における連帯の場を強化していかなければならない。過去のと決別という面において、欧州統合が果たした役割はアジアにとっても参考となろう。(p.203-204)



これは本書の結論として述べられる、フランス政府の外交から日本政府の外交が学びうること、の一つである。

基本的にこの見解に賛成である。アメリカとの関係さえ良くなれば他の国との関係も良くなるなどと小泉首相は言っているが、それはタワゴトと言うべきだろう。アメリカと関係がよいということ自体は必ずしも非難されるべきことではないが、アメリカに対してはむしろ「つかず離れず」でなければならない。そのためには様々な場で自らの足場や勢力圏を持っていなければならない。日本政府はそのような努力を何らしていない

先日の北朝鮮の「ミサイル騒動」においても、中国、ロシア、韓国の政府の対応と日本政府の対応の相違を見れば、それは明らかである。これらの国々と相互信頼に基づくある程度密接な関係ができていれば、これらの国々の対応も違ったものになっていただろう。これらの政府の中で日本政府だけが「浮いている」のは、日本政府には足場がないことを意味している。

(ミサイルが落ちた地点は、日本よりもロシアや中国に近いと思うが、これらの国が抑制的なのに対して日本政府の度を越したと見えるほどの対応は一体、何なのか。日本政府の対応を見ていると、まるで自国の領土内にミサイルがすでに着弾したかのように錯覚してしまうほどである。)
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テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

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