アヴェスターにはこう書いている?
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高井潔司、藤野彰、遊川和郎 編著 『現代中国を知るための50章 【第3版】』(その2)

 07年の輸出総額は1兆2180億米ドルに達し、WTO加盟から六年で約五倍に拡大したことになるが、その過程では外国企業の寄与が大きい。WTO加盟は、中国が経済活動において国際ルール遵守を約束したことを意味し、外国企業にとっては中国での事業活動のリスクが大きく低下することになった。(p.77)


中国の経済にとって、WTO加盟は極めて重要なターニングポイントないし、加速のための大きなポイントであった。



 96年4月には「外国為替管理条例」が施行され、貿易決済などの経営収支項目については人民元と外国通貨との交換性が実現し「IMF八条国」に移行したが、証券投資などの資本収支項目については、むしろ規制が強化された。国内の経済過熱に伴うインフレが深刻化する中で、人民元への信任が低下し、外国投機や外貨のヤミ市場が拡大するなど金融秩序が著しく乱れた常態を正すための措置であった。こうした措置は、タイや韓国など他のアジア諸国が資本取引の自由化を積極的に進めていた当時の状況からすれば、時代の流れに逆行するものであったが、中国の国情からすればやむをえなかった。
 為替管理の強化は、97年に勃発したアジア通貨危機で功を奏した。米ドルとの固定レートを維持していたアジア各国通貨が次々に暴落する中、市場では人民元の大幅切り下げの懸念が浮上した。そうした事態に際し、中国政府は「人民元は切り下げない」と公約し、その公約を守ることで国際的な評価を高めたが、これは94年以降の資本取引への規制強化があったからこそ可能だったのである。(p.109)


アジア通貨危機ではグローバル化に歩調を合わせていなかった。このためこの事件は中国が世界経済の中で台頭する要因となった。この事件は現代の中国の経済や世界経済を語る上で極めて重要な位置を占めるものであると思われる。



 日本の対外政策は良きにつけ悪しきにつけ、国内政策手法の延長線上にある。海外でのODAも円借款による公共事業が中心であった。中国におけるODAも例外でなく当初は交通インフラなどが中心であったが、対中ODAをめぐる議論の中、環境シフトが進んだ。しかし、分野こそ上下水道や植林など環境へとシフトしたが、円借款は相変わらず公共事業型、無償資金協力は日中友好環境保全センターなどハコモノ建設が中心だった。技術協力については、政策担当者に対するキャパシティ・ビルディングより、現場の技術者への研修が重視された。日本の対中援助には、日本が協力しやすいように中国の政策転換を誘導するという問題意識が希薄であり、「ハードに強いが、ソフトに弱い」という特徴が顕著に見られる。これが後述するように政策対話のための知的プラットフォームの構築という点で国際機関などの後塵を拝することになった主な要因と考える。(p.203)


的確な指摘である。

元外交官の杉本信行も『大地の咆哮』でこうした指摘をしていた。彼が提示したやり方はある意味では公共事業型ではあるが、いずれにせよODAは相手国の政策転換を誘導するようなものであるべきだという点では本書と共通している。

日本の外交もこうした戦略的なノウハウをもっと蓄積すべきだろう。ついでに断っておくと、これは一国的なエゴイズムの発想(右派のナショナリストに見られるような発想)からではなく、相互に協力関係を築く上でも重要な視点だと思われるからである。



 中国企業で何らかの知財を有するのは一万社に三社、独自の商標を持つ企業は四割にすぎず、特許の申請をしたことのない企業が九割以上に上る。特許の申請も上位は漢方薬、飲料、食品、中国語入力法の順で、ハイテク関連はごく少数に止まる。「守るべきもの」があって初めて知財保護の意識は高まるものであり、結局のところ、中国企業も知財の収支バランスを意識できるようにならなければ根本的な改善は難しいと思われる。(p.215-216)


納得させられる。

中国で知財保護がある程度普及するには、中国の国内企業のある程度の部分が知的財産を保有するようにならなければ難しいのだろう。知財保護により利益を得る企業がある程度増えない限り、こうしたことを守らせるインセンティブは働かないだろうから。

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