アヴェスターにはこう書いている?
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楊世英 『中国経済――経済成長と労働力移動――』

そして、農村経済改革の推進によって農業労働力の移動条件が生まれてきた。しかし、1984年以前は中国の都市経済改革がまだ始まっておらず、農村労働力の都市への移動はまだ厳しく政策によって制限されていた。当時農業過剰労働力の存在と都市で新しい就業の場が提供できないという二重の圧力の下で、中国特有の郷鎮企業の枠組みが現れてきた。(p.33)


80年代の中国の経済の状況を簡潔に示している。当時、生産請負制が実施され、人民公社が解体されたことで、農村の労働生産性は向上し、労働力が工業に向かうことができる条件ができてきたが、戸籍制度が現在よりも厳格に機能していたため、そうした労働力が都市に流出することができなかった。そのため、農村の内部で工業化が起こり、雇用を吸収した。そこで大きな役割を果たしたのが郷鎮企業だったというわけである。



 以上の数字から見たとおり、1996年以降中国は、主に固定工を中心とした就業構造から契約工を中心とする就業ルートの多様化へと転換している。(p.121)


日本でも非正規雇用化は80年代に萌芽があったものの、90年代末から一挙に進んできたのだが、ほぼ中国と歩調を合わせているといえる。それはもちろん偶然ではなく、この動きは一国レベルの政策によるものではなく、世界経済の変動局面(コンジョンクチュール)を反映したものだったからである。

そして、90年代末に金融危機の連鎖が起きたのは偶然ではない。どちらも金融グローバル化が規定する変動局面の中で起こった事件なのである。



 第二に、高度の同質性・群体性・集中性が見られることである。急速な経済の市場化を背景にした中国の貧困層は群体性を持っている。通常であれば、貧困層の分布は各階層に一定の割合で分布している。しかし、中国の場合、企業倒産による従業員が失業者となり、次第に貧困層に転落するケースが多い。工場の規模が大きく、数千人が同時に失業したケースもあった。この人々は、同じ生活経験を持って、さらには同じ地域に集中して住んでいる。伝統的意味での貧困層とは違い、貧困層には一種天然の身内意識がある。この現象は、伝統産業が集中している都市や地域にとくに目立つ。これらの特別の性質をもつ人々が一極に集中した結果、自らの利益を追求する動機が極めて強く、彼らの動きは徐々に社会の不安定要素となっているのである。(p.201)


この「群体性」の根拠となるデータは本書には示されていないため、多分にイメージやミクロレベルの観察経験に基づくopinionであると思われるが、もし、こうした要素があるとすれば、中国の政治的な不安定化要因と言えるであろう。その意味で興味深い仮説だと考えられる。

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