アヴェスターにはこう書いている?
本を読んでいて気になったことなどを徒然なるままにメモしておくブログ。書評というより「読書メモ」。
プロフィール

ツァラトゥストラ

Author:ツァラトゥストラ
「ツァラトゥストラはこう言っている?」の姉妹編。日々読んでいる本から気になった箇所をピックアップして自由にコメントするブログ。

FC2ブログランキング

FC2ブログランキング

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

荻野三千雄 『愉快・痛快・不可解――中国南京一人暮らし――』

いずれにしてもよそ者が自分の国のスケールで物事をわけ知り顔に判断するのはよくないことだと言えるであろう。(p.76)


概ね同意見だが、「スケール(尺度)」を「国」で区切る必要はない。というか、「国」によって規定される「スケール」もありうるが、そうでないものも多い。

判断主体と判断される対象との関係において、判断する主体が対象の「他者性」を排除してしまっていることが「よくない」のである。ここでは判断主体が発言する世界についての言明は、判断主体が予め備えている枠組みで完結した閉じた世界を形成することになる。しかし、世界はこのように閉じたものではないために、世界と認識のズレが大きく、さらにそのズレが固定化する傾向を有することになる。それによって認識主体と世界との調和が乱れることになるなどの問題が考えられる。



 日本の病院で点滴を受けている人の一般的なありようといえば、ベッドに静かに横になって暗い憂鬱な顔をして、ひたすら終わるのを待つというもので、周りの人とお気楽におしゃべりするなんて考えられない。言い知れぬ病気の恐怖にとらわれ、じっとしているだけで、話したり笑ったりする気分や余裕は持ち合わせていないだろう。それに比べればこの国の人たちのこの明るさや楽しげな雰囲気はどこからくるのか?中国語では、日本で言うところのいわゆる「病院」は「医院」と表現される。「医」には治す・治療するという意味がある。だから、中国人は「医院」は病気を治してくれるところだと考えているから通院することを躊躇しない。日本のように「病院」と表現するのでは、まさに病んだ人の行くところで暗く不安な気持ちになるのは当たり前かもしれない。共通の文字としての漢字を共有する中国と日本が、その表現方法において似て非なるところがあることは民族や文化の考え方の差異がうかがえて面白い。(p.92-93)


hospitalを「医院」と捉えるか「病院」と捉えるかという違いが点滴を受けているときの患者の行動の違いを引き起こしているのだろうか?そうではあるまい。私のこの意見が妥当だとすれば、著者の見解はやや飛躍があることになる。ただ、著者は語学の教師だけあって言語の意味などについての解釈は面白く読める。

最後の一文はそれなりに共感できる部分もあるのだが、捉え方が逆であろう。言語の用法の違いが積み重なったものを大局的に観察したとき、それが文化の違いとして認識されるのであって、ア・プリオリに文化や民族の考え方があって、そこから言葉の用法の違いが出てくるのではない。



 初めて見る中国語を漢字の意味から類推して、日本語ではどんな意味になるのか考えるのは頭の体操になるばかりでなく、その意味が分かったときは中国に親近感を覚える。そして、日中両国が精神的にも文化的にも共通の風土を持っていることをしみじみ感じるのである。(p.238)


私も最近中国語に興味を持っているので、ここで述べられているような感覚には共感するところがある。特に、頭の体操になるというのは同意見だ。また、私はヨーロッパの人が英語を勉強するのは日本語話者が中国語を学ぶときの感じに近いのだろうか、などとも想像する。というのは、文法は若干違うが、意味が共通の単語が多いので明らかに英語などを学ぶより勉強しやすいと感じるからである。これならドイツ語話者が英語を学ぶほうが、日本語話者が英語を学ぶより身につけやすいのではないかという感覚に囚われるのだ。実際にどうなのかはわからんが。



私を中国へ駆り立てるのは中国の友人や在中の日本人との再会の楽しみだけではない。路地や裏通りに一歩足を踏み入れると、まだまだそこには素朴で人間味溢れる人々の生活の息吹を感じさせる空間が確かに存在していて、角に一人佇みながら物売りや通行する人々の姿をわけもなく眺めていると、日本では見ることのできなくなってきた「人間が主役の世界」が目の前に広がり胸を熱くさせてくれるからだ。(p.255)


著者の見解からはある種のノスタルジーのようなものやオリエンタリズムの欠片を感じるが、同時に共感するところもある一文である。
スポンサーサイト

テーマ:読書メモ - ジャンル:本・雑誌

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://zarathustra.blog55.fc2.com/tb.php/351-e4088693
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)