好むと好まざるとにかかわらず、われわれはエリートに社会の指導を委ねざるをえない。政治の技術をたたき込まれたテクノクラートは、社会にとっては必要欠くべからざるものである。今日の複雑な社会の運営がすぐれたエリートに委ねられていることは、疑いのない事実である。それだけに、良質のエリートの創出が重要な問題であることも事実である。われわれはいたずらにエリートに疑いをかけ、かれらの手を縛り続けるのではなく、よりよいエリートの創出と管理、さらにはほどよい交替に心掛けなくてはならない。(p.182)
表現としてはややきわどいが、私もほぼ同じような意見を持っている。最初の一文などはウェーバーの「寡頭制の原理」を表明したものに過ぎない。こうした傾向が存在することを否定することはほぼ不可能だろう。それゆえにエリートの適切な管理の方法が重要なのである。
昨今の国内での議論を見ていると、適切な方法というよりも、単にそのエリート達が自分より恵まれているかどうかという視点で断罪するだけであり、まさに筆者が言う「いたずらにエリートに疑いをかけ、かれらの手を縛り続ける」状態になっているように思えてならない。
そして、適切な管理のために必要な第一歩こそ、「断罪なき情報開示」である。断罪つきの情報開示では情報を隠して当たり前である。情報を開示しても断罪はしない、完全な犯罪行為は除外していもいいかもしれないが、基本原則として断罪なしで公開を求めることこそ必要である。官僚の行為について言えば、それが政争の具にもなっているために、冷静な議論を阻まれている。その点で民主党など野党にも健全な議論を妨げている大きな責任があると言うのが私の見方である。
客観的な情報の開示とその情報に対する分析があってはじめて客観的に建設的な方策を考案することができる。実際にできるかどうかは別としてもそのように考えるべきではなかろうか。
一般に、貿易港といえば海に面していると考えがちである。だが、それは、必ずしも正しくない。古来、世界の貿易港の中には内陸に栄えたものが少なくない。フィレンツェ然り、ロンドン然りである。今日のような確固とした輸送手段が確立されていない時代にあっては、ある程度の内陸部まで船で運び込んでおく必要があったのだ。(p.244)
歴史的に都市を見、考えていく上で、参考になる見方である。
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