アヴェスターにはこう書いている?
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遠藤誉 『中国動漫新人類』(その2)

 そもそも、なぜ台湾で哈日現象などが起き始めたのかというと、それは1987年に、台湾政府が38年間に及ぶ戒厳令を解除したからだ。・・・(中略)・・・。そのとき初めて、日本の文化が雪崩を打ったように台湾に入り込み、若い女の子たちを中心として哈日現象などが起きはじめた。それはきっかけだ。
 ・・・(中略)・・・。
 彼女たち(引用者注;中国大陸の哈日族)は決して最初にまず「日本が好き」だから哈日になったのではない。あくまで若い女の子らしく「美しいものが好き」で、その美しいものが日本のさまざまなグッズだったわけ。その結果、哈日になったのである。
 「美しいもの」への憧れ、「美しくなりたい」という思い。
 改革開放までは罪悪でしかなかった、こうした美への憧れの感情が、今は自由に求めることを許され、しかも実現のための手段を手にできる。程度の差はあれ、女性は誰でも美しくなりたいと思うだろう。その渇望と夢がようやく中国の若い女性たちに放たれた。そのとき彼女たちの前にあったのが、日本の「美しかったり」「カワイかったり」するグッズやファッションだった。
 中国の、そして中国人にとっての問題は、こうした中国で流行っている「美しさ」の基準が現在「日本」という国から発信されているということにある。しかもその情報は、日本政府が意図的に発信しているのではなく、中国の若者たちがインターネットや雑誌を通じ、自らの意思で選んだものを入手しているだけのことだ。一方で彼女らは、90年代以降に強化された愛国主義教育を受けているから、かつての日本の侵略行為に対して強い批判心も持っている。当然、「日本への批判」と「日本のファッション大好き」という、日本に対する感情のダブルスタンダードのような心の葛藤が顔を出す。
 ・・・(中略)・・・。
 政府もこうした若者たちの動きには警戒心を強めている。
 すでに述べたように、哈日現象は台湾から起きはじめた。女の子たちの間で流行っている分には危険度もさして大きくなかった。が、問題は台湾の李登輝が90年代半ばに自分の選挙活動のために利用し始めたこと。自分はかつて日本人であったというような宣伝を行い、台湾独立のために日本の歓心を買うため哈日を奨励したという経緯がある。もちろん哈日自体、愛国心と相反する現象なので大陸側では警戒しているが、そこに「台湾独立」のための日本抱き込みキャンペーンという政治的色彩が入っているので、中国政府はさらに警戒を強めるのである。(p.74-77)


哈日現象に対するコンパクトなまとめ。李登輝が政治的に利用したという指摘がなかなか興味深い。

純論理的には「「日本への批判」と「日本のファッション大好き」という、日本に対する感情のダブルスタンダード」というのは成り立たないのだが、心理的には成り立ちうる。



 貧乏から抜け出し、閉鎖から抜け出し、娯楽を求める……そんなゆとりが出てきたという意味において、日本の60年代と21世紀初頭の中国はほぼ同様の経済発展段階にあたると思われますが、なかでも中等収入者(中産階級)が増加したことは大きいですね。彼らは、現在の日本と「消費形態」が似通ってきているため、消費を通じ、日本人と「共通の感覚」を抱いています。その結果、ますます日本動漫が好きになっていく。ブームになるのも当然です。(p.253)


これはある中国の識者へのインタビューでの発言だが、概ね同意見である。

物価との対比での所得水準がかなり近いため、消費に対する感覚が近くなっているため、日本のものを受け容れやすくなっている。本書では「日本動漫」が中国に民主化をもたらす力になると言っているが、私の見方は、それをもっと相対化したものになる。上の引用文にある「中産階級」が増加することによって、庶民の(政治的・経済的・社会的な)権力が増大することによって、政府の権力が相対的に弱くなる。それは現象として民主化の方向に向かうということである。日本動漫が流行し消費されるということは、そうした庶民の権力増大の結果としての現象であり、認識根拠としての側面が強い。実在根拠としての側面はそれほど強いものではない。むしろ、日本動漫は中国の民主化よりも、中国において「日本に対する肯定的なイメージ」の形成に役立っている点で有用なものと見るべきであろう。

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