アヴェスターにはこう書いている?
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大山典宏 『生活保護vsワーキングプア 若者に広がる貧困』(その1)

 不正受給と並んでケースワーカーの頭を悩ませるのが、「不正とまではいえないが、法の趣旨に反する受給態度」です。本来、生活保護は自立できるまでの一時的な支援ですが、利用者本人に努力する姿勢が見られないこともあります。仕事も探さずに昼間まで寝ていたり、パチンコなどの遊技場に入り浸ったり、酒を飲んで酔っ払って近隣住民に迷惑をかけるなど枚挙にいとまがありません。不正とまでは言えないが、不適正な受給態度は、市民感情を刺激し、「なぜ、あんな人間が生活保護を利用できるのか」という声になっていきます。(p.65)


生活保護法には、

第60条 被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、支出の節約を図り、その他生活の維持、向上に努めなければならない。


という規定があるので、ある意味では上記のような「不適正な」態度というのは、厳密に言えば違法だと言うことができるだろう。

しかし、それが度を越さない限りは廃止などの措置は採りにくく、受給者に生活態度の是正を強制する権限もない(法第27条第2項、第3項を参照)ことが現場のケースワーカーを悩ませる問題なのだと思われる。

こうした視点は、生活保護の制度の活用を促し、福祉事務所の「水際作戦」を批判する人権団体などの主張からは――意図してか意図せずしてかはわからないが――すっぽりと抜け落ちているものであり、かつ、現場で起こっている問題を捉える上で重要な指摘であると思われる。

実際問題として、この問題にどう対処すればよいかのかは、一律の解答はないのではないかと思われる。ただ、実施体制として現在の生活保護法の下で福祉事務所があらゆる分野を丸抱えしている状況において、こうした問題にまともに対処しようとすれば、福祉事務所の労力を大きく割くものとなってしまうであろうことは容易に想像できる。その労力を惜しんで(あるいは労力を捻出できず)放置すれば実害は少ないかもしれないが、不正行為を容認することになると同時に、周囲の住民の批判の対象ともなる。どちらに転んでも良いことはあまりないという「八方塞がり」な状況が見えてくる。



 ある地方都市に住む二十八歳のマサオさんは、パチンコ店の行列待ちをして1000円ほどの小遣い銭を稼ぎます。一日にやることはそれだけ。週に二~三回はハローワークに通っているのですが、仕事は見つかりません。マサオさんの表情に悲愴感はなく、淡々とした口調で「仕事がないんですよ」と語ります。生活保護で生活は保障されているから、それほど困ることはありません。担当するケースワーカーも頭を抱えています。(p.70)


実際問題として地方都市には仕事はない。その意味で就職するのは難しいだろう。20代後半で何ヶ月も何年も仕事をしていないとなると、私が経営者なら採用しない(こういう人たちは良質な労働力である可能性はそれほど高くないと見た上で、新卒を採ったほうが安全であり教育する価値があると判断する)ということから考えても、さらに就職は厳しいのかもしれない。

しかし、「悲愴感」がないというのは、もうそれを通り越して「諦めの境地」にいるのではないかと想像する。ある意味、悲惨な光景ではある。



「こういう“生活保護ニートの連鎖”が最近、とても増えているんです。自分の親も生活保護で生活しているんだから、同じように、働かなくても生活保護でなんとかなる、と考えるんでしょうね。他のケースワーカーに聞いた話ですが、母子家庭四代続けて生活保護、なんて、すごい例もあるそうです。みんな働けっ!と怒鳴りたくなりますよ」(p.71)


こうした貧困の再生産については、よく指摘されるところではある。「生活保護ニートの連鎖」が増えているのだとすれば、それは生活保護というシステムが自立にあまり役立っていない――少なくともそうした面がある――ということを意味する。

貧困の再生産を防ぐにはどのように生活保護を変えていけばよいか?そのためにはまず、実態を知らなければならない。どのような人たちが「生活保護ニート」になっているのか?私としてはかなり興味がある。

仮説としては、まず間違いなく「初代」から母子家庭であることと親の最終学歴が低学歴であることは言えるものと考える。また、生活保護制度における就学に対する支援が手薄であることも重要な要因であろう。というのは、生活保護では、高校の学費が公立高校までの分しか出ないので、私立高校に行くのはかなり困難である。いわんや大学をや。だから生活保護受給世帯の子は、非受給世帯と比べて最終学歴が中卒となる確率が高く、それが貧困の再生産につながっていく要因の一つであろう。

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