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アヴェスターにはこう書いている?
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河辺一郎 『国連と日本』
本書は94年に出版された本なので、もう12年にもなるのだが、未だに有効な主張が満載である。

PKOが変貌をとげた92-93年には、安保理理事国という特別な地位にあった。常任理事国という制度化された地位にはなくとも、日本はそれを補って余りある力をもっている。
 この2年間安保理は、カンボジアへのPKOの設置、ソマリアへの、人道的理由に基づいて独立国の内政に介入するために初めて武力行使を認めた多国籍軍の派遣、その多国籍軍のPKOへの置き換えと武力行使容認、モザンビークへのPKO派遣、旧ユーゴスラビアのPKOへの武力行使容認など、国連の歴史を画する多くの決定を行っている。そして日本はそのすべての審議に関わり、賛成しているのである。巨大な力をもつこの国が何かをする、またはしないことの影響は大きい。
 世界最大の力をもつ米国の国連支配が問題であるならば、それを牽制できるのはまず第二の国だろう。逆にこの国が第一の国と結びつくと、他の国の発言力は大きく低下する。国連を問題にする場合、日本においてはまず日本政府の行動を論じなければならないそれを監視する責任は日本国民にあるのだから。
 ・・・(中略)・・・
国連が決定したから応じなければならないというが、その決定を国連で推進したのは他ならぬ日本だったのかもしれない。(p.~、強調は引用者)



こうした視点は国連や国際的な問題、さらには内政では憲法変更に関する議論がなされるときにもっと注目されるべきだ。河辺氏の見解に全く賛同する。

 国連中心主義とは、講和や安保条約改定など、戦後日本の進路をめぐって国民の意見が大きく分かれる問題において国民の目をそらすために提唱されたものに他ならず、実体化することはなかった。そしてこれが再び日の目を見るには、イラクのクウェート侵攻を契機にした自衛隊の海外派遣の理由づけとなるのを待たなければならなかった。提唱されたときと同じく、安全保障問題とくに軍事問題の根拠として再登場したのである。そしてここでも、国連や国連中心主義が実証的に議論されることはなかった。35年の年月をおいて、また同じ議論が繰り返されたといってもよい。国連中心主義は、政府が意図したように常にスローガンのままにとどまり、国民の目をそらすために使われ続けたのである。(p.64-65)



この文章は最近書かれたものではない。12年前の文章である。以上のような歴史的由来を持つ「国連中心主義」でさえ今では穏健な議論に聞こえてしまう。そんな言説空間にわれわれはいるらしい。何ということだ!

 日本の核軍縮姿勢を見て懸念を示す外の目と、その姿勢を知らずに議論する内の目には格差がある。日本人が日本の核武装を「いわれなき懸念」と考える原因である。しばしば内外の認識のずれ、パーセプション・ギャップが問題になるが、「溝がなかなか埋まらない」のは日本国民の思いと各国の懸念の間ではなく、政府と国民の間にあるのではないだろうか。(p.112)


この指摘も重要である。日本は「平和国家」とは言いがたいということが河辺氏の著作を読むとよくわかる。

イラク戦争などで、日本にいるわれわれから見ると、アメリカ政府にはかなり横暴なところがあると映る。これは日本に限らずだいたいどこの国の人でもそう思っている。ある意味、外から見た日本政府の行動というのも、アメリカと似たり寄ったりのところがあるように思われる。

アメリカの人々も最近でこそイラク戦争には反対という立場が大勢を占めているようだが、開戦後しばらくはそうではなかった。これは上の引用で言う「政府と国民の間」の溝がある状態だったからではなかろうか。現在の日本も似たような状態であるように思われる。それは次の一言で要約できるかもしれない。

 日本の姿勢は、不正義な状態を容認した上で、一国繁栄主義とでもいうべきものを露骨に追求してきていたのである。(p.183)

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