アヴェスターにはこう書いている?
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柴田純一 『プロケースワーカー100の心得 福祉事務所・生活保護担当員の現場でしたたかに生き抜く法』

 「息子さんたちとは、どんな具合なんですか?」などと初めはもっとあいまいな質問でいい。yes・noで答える質問をしてはならない。
 相手が「はぁ……、あのぅ……」などと、どう言っていいかわからないくらいでいいのである。
 これで、相手は言いたいこと、感じていることを自由に表現することができる。(p.47)


相手の言いたいことを引き出すときには、こうしたやり方をすべきだろう。



 法第六十条は「被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、支出の節約を図り、その他生活の維持向上に努めなければならない」と規定している。被保護者とは通常の社会生活から逸脱したものであるという前提にたった規定である。
 これは、法第一条に自立助長を図ると規定された保護の目的と連動して、被保護者に対して指導・指示を行う根拠となっている。
 例えば、体が不自由で、家事が思うようにできず、部屋も非衛生的で栄養状態も悪いような高齢者に対して、ホームヘルパーの申請をするようにという指導をしたり、金銭管理のできない被保護者に対して、扶助費を(担当者に)預けて、週ごとに取りにくるようになどの指示が行われる場合がこれにあたる。
 また被保護者には保護を受給するための前提として、法第四条の補足性原理にもとづく、資産・能力・扶養義務・他の法律などを活用することが義務づけられている。そこで、収入の申告を行うように、あるいは公共職業安定所に行って求職活動するように、などの指導・指示が行われることになる。
 前者の指導・指示は「生活の維持向上のため」のものであり、後者は「保護要件を充足するため」に指導・指示がおこなわれるものである。(p.115)


この制度について学び始めたばかりの私としては、この二種類の指導・指示の根拠のあたりで、ようやく生活保護制度の基本的な構造が見えてきたように思う。保護を受けるためには、まずそのための要件を充足しなければならず、その条件を充足した上で「生活の維持向上」に努めることが望まれているという構造になっている。

普通の制度の解説本ではなく、こうした実務マニュアル的な本のほうが物事の内在的な理解に適しており、科学哲学におけるブルーノ・ラトゥールの手法を行政(学)に応用できるのではないか、ということもあって、こうした本を読んでいるわけだが、私の目算はそれほど誤っていないようだ。



 世帯単位原則については、概念そのものがあいまいなうえに、要件事実そのものを挙証することが困難である。したがって、この原則の中で法を適用していく際は、これをもうひとつ上位の補足性原則に合致するように考えていく必要がある。
 つまり、親子で同じ家屋に住み別生計などの主張は、補足性原理の中の扶養義務者の扶養の優先という原理が優先することにより、無効とされなければならないということである。
 いずれにせよ、居住と生計の同一、このことばかりに気をとられてしまうと、現実からかけ離れた決定をしてしまうこととなる。
 実施機関の実力が問われるところでもある。(p.124)


法解釈の基本だろうが、どうやらこの生活保護という制度はかなり曖昧でアドホックなものであるらしいことがわかってきた。上記は、そのありようを典型的に示す箇所だと思う。



 当然のことを、「してあげる」と言えば、相手はできないときも担当者の判断で「してもらえる」と思い、客観的な基準の存在を理解することができない。
 ・・・(中略)・・・。
 そのための方法のひとつとして、何ごとに対しても「する」と言わずに「なる」と言うことである。例えば保護を廃止するときは、「廃止にします」ではなく、「この場合廃止になります」という表現を用いることである。私がするしないではなく、あなた(相手方)ができるのかできないのか、給付されるのかされないのかの視点で考えるとそれができる。(p.182)


事実factの理論負荷性を覆い隠すことで、客観性を装うというわけだ。ある意味ではセコイ手だが、一つのテクニックとして、別の業界でも応用可能な手法であろう。ただ、factの世界だけでなく、Wirklichkeitの世界には常に注意を払うことが必要なことは言うまでもない。

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