アヴェスターにはこう書いている?
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野村達朗 『大陸国家アメリカの展開』

 大平原を舞台にカウボーイが活躍する西部劇でおなじみの情景が展開するのも南北戦争後のことである。乾燥した土地が農作物などを育ててくれるとは思えず、農民が進出する前の大平原の公有地でまず栄えたのは牛の放牧だった。しかし牛の放牧が発展するには、肉牛の市場としての北東部都市社会の拡大、生産地と消費地を結ぶ鉄道の伸張が必要だったのであり、「牛の王国」も資本主義的市場関係に支配されていた。そして放牧とロングドライヴは資本主義的な労使関係に立つ営利事業だった。カウボーイは放牧労働者だった。彼らは馬乗り、ロープ捌き、焼印押しの熟練をもった労働者であり、朝早くから過酷な労働に従事した。またカウボーイのなかには黒人やメキシコ人が多く含まれていた。(p.66-68)


アメリカ大陸の歴史にはどちらかというと疎く、ユーラシア大陸の方がどちらかというとよく知っているのだが、こうして「カウボーイ」についての記述を読むと、アメリカのカウボーイは、ユーラシアにおける遊牧民(例えば、トュルク系やモンゴル系の人々)と重なる存在であるように思われて面白い。そう思うと俄然親近感が湧いてくるから面白いものだ。

また、カウボーイは「資本主義」があってこそ存在しえたという趣旨の指摘も大変興味深いものだ。(なお、本書の言う「資本主義」とは恐らくウォーラーステインの「資本主義」概念に近いものだと思われる。)北東部の工業地域に都市が発展し、消費市場として機能しうる潜在的な需要と、そこへのアクセス可能性(交通)が確保されることの2点が揃うことで、市場経済的な事業として放牧が成立しうるわけだ。

もう一つ気づくのは、カウボーイには黒人やメキシコ人が多くいたとされていることである。これは何となく西部劇に出てくるカウボーイのイメージとちょっと違う感じがして面白いと思った。ただ、この一文は単に意外性があって面白いという以上の意味がある一文である。

というのは、黒人やメキシコ人が多くいたということは、カウボーイたちは北東部の工業地域に対して資本主義の秩序の中で従属的な地位に位置づけられることを示唆していると思われるからである。(この点ではユーラシアの遊牧民とは異なっている。)

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